
第37章
 聞こえめでたき
 王女ミコミコーナの物語、続。
 加えて、胸おどる椿事の数々。
 
 「殿様は、お気に召すだけお休みにならせませ。窶れ顔の旦那様、羅刹を退治することなど、もうどうでもよろしゅう御座います。お姫様を国へ送り届けることもお忘れになってよう御座います。もう、何もかも済みました、片がつきました」
 
 戦をする武人には明晰な判断力が不可欠なのであります……しかしながら、それも、戦が目指すほど高い称賛には値しません。戦の目指すところは平和です。平和は、この世で人が望みうる最大の財産です。世界の人々にとって初めての嬉しい知らせは、人類にとって曙となる。あの夜、天使から告げられたものであります。
 
 そもそも、貧しさには、巡り合わせの悪さがあります。貧しい者には幸いは巡って参りません。