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まことの貴さは

2014年08月18日 (月) 22:16

第36章
赤葡萄酒の革袋を相手に
ドン・キホーテが剣をふるう。
壮絶なり。
加えて、旅籠での奇妙奇天烈、
珍事件。

「その女には何をしてやっても無駄だ。…」

「私がいつ嘘をつきました」

「まさか、そんな」

「お前をこそと望まれ、口説かれ、心を惹かれるに至ったわたくしは、どれほどまでにお喜び下さるなら、と身をおまかせ致したのでございますが、それが間違いのもととなりました」

「…まことの貴さは、家柄になく、人柄や美徳にあります…」

それが幸いして浮世の煩悶(わずら)いに決着がつき、今、心は天国、晴れ晴れしているのである。


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