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経済補償金の支払

2014年08月19日 (火) 14:23

4) 経済補償金の支払(第 46 条、第 47 条関係)

?使用者が労働契約に約定する条件を維持し、又は引き上げて労働契約を更新する場 合において労働者が更新に同意しないときを除き、労働契約期間が満了した場合 に、使用者は労働者に経済補償金を支払わなければならない。また、予告解雇や整 理解雇の場合にも同様とする。

?経済補償金は、勤続期間1年につき1か月分の賃金を支払う。なお、労働者の月額 賃金が当該地区の平均月額賃金の3倍を上回る場合、勤続期間1年につき地区の平 均月額賃金の3倍とし、最高で 12 か月分まで支給する。

これまでも労働法の規定により、予告解雇(解雇の 30 日前までに労働者本人に通知 して行う解雇)や整理解雇(使用者の経営上の必要性による解雇)の場合には、使用 者は労働者に経済補償金を支払わなければならないとされていた。
これに加えて、本法律では、元の労働条件を維持又は引き上げて労働契約を更新す る場合において労働者が更新に同意しないときを除き、労働契約期間の満了を理由に 労働契約を終了させる場合にも、使用者は労働者に対して経済補償金を支払わなけれ ばならないとしている。
これは、使用者に経済補償金を課すことによって、有期労働契約者の労働条件の引 下げを防止するとともに、長期の有期労働契約や期間の定めがない労働契約の締結が 促進されることを期待したものと考えられる。
しかし、企業にとっては、予定されていた通常の労働契約期間が満了した場合にも 労働者に対し経済補償金を支払わなければならなくなることから人件費が上昇するこ とになり、大きな負担となる。このため、本法律が施行された現在でもこの規定は見 直すべきであるとの意見は根強く存在する。
中華全国総工会は、本法律の施行に伴う企業側のコストアップを約6%と推計、そ の多くが経済補償金であるとしている。また、今回訪問したある日系企業は、本法律 の施行に伴うコストアップを5 10%程度と予測している。
経済補償金の額は、原則、勤続期間1年につき1か月分の賃金とされているが、所 得が高い者については上限規制が設けられた。すなわち、労働者の平均月額賃金が当 該地区の平均月額賃金の3倍を上回る場合には、平均月額賃金の3倍を基準として、 最高で 12 か月分までしか支給しないというものである。これは、使用者の過重な負担
に考慮するとともに、所得が高い者の経済補償金が高くなりすぎないようにするため であるとされている。
しかし、この規定については、例えば、勤続年数が 20 年の場合、平均月額賃金が当 該地区の平均月額賃金の3倍を超える労働者と 2.9 倍の労働者の経済補償金の額に逆 転現象が生じるという矛盾が指摘されている。

○勤続年数 20 年で平均月額賃金が地区の水準の3倍を超える労働者
(A)の経済補償金
地区の平均月額賃金の3倍 × 12 か月

○勤続年数 20 年で平均月額賃金が地区の水準の 2.9 倍の労働者
(B)の経済補償金
地区の平均月額賃金の 2.9 倍 × 20 か月

※平均月額賃金は、A > B だが、経済補償金は、A < B となり、矛盾が生ずる

この矛盾について、労働社会保障部は「確かに逆転するケースもあるが、そのよう な例はあまり生じることはないと考えられ、特に問題はない」と説明している。また、 中華全国総工会は「確かに矛盾する点はある。しかし、逆転現象は偶然に起きるもの であるとして理解するしかない。」との見解を明らかにしている。


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