3) 試用期間(第 19 条 第 21 条関係)
?労働契約期間が3か月以上1年未満の場合には試用期間は1か月を、1年以上3 年未満の場合には2か月を、3年以上の場合及び期間の定めがない労働契約の場 合には6か月を超えてはならない。
?使用者は、同一労働者と試用期間を1回のみ約定することができる。
?試用期間中の賃金は、労働契約の賃金の 80%を下回ってはならず、かつ、最低賃
金を下回ってはならない。
?使用者は、試用期間中に労働者を解雇する場合、労働者にその理由を説明しなけ
ればならない。
試用期間中の賃金が本採用後の賃金より低く設定されていることは一般的に少なく ないが、試用期間中に不当に低い賃金で働かせていたり、低い賃金で長期間働かせる ことを目的に、合理的な理由なく試用期間を延長したり、更新するという問題が生じ ていた。
このため、本法律では、試用期間を設定することができるのは1回のみと明記する とともに、労働契約の期間の長さに対応した試用期間を設定することとし、契約期間 が3か月以上1年未満の場合の試用期間は1か月、契約期間が1年以上3年未満の場 合の試用期間は2か月、契約期間が3年以上の場合と期間の定めがない労働契約の試 用期間は6か月を超えてはならないとした。また、試用期間中の不当な低賃金問題を 解決するため、試用期間中の賃金が本採用後の賃金の 80%を下回ることを禁止し、か つ、最低賃金を守らなければならないとした。さらに、使用者が、試用期間中の労働 者を解雇する場合、労働者にその理由を説明することを義務付けた。
これにより、長期にわたる不当な試用期間と当該期間における低賃金労働、そして 安易な理由による解雇の防止が期待される。
この規定に関する企業側の対応としては、就業規則の変更が多く行われたとのこと であった。これは、本法律が、試用期間中の解雇のほか、就業規則違反の解雇の際な どに、使用者側にその合理性の立証を求めていることに対応するもので、解雇や懲戒 処分の基準などを就業規則にきめ細かに規定するという内容の変更が行われたようで ある。