Q1
当社ではコンサルタントをX国とY国から招聘する予定でいます。両名とも日本での滞在日数は4カ月ほどを予定しています。
当社が両コンサルタントに支払う報酬の税務上の取扱いはどのようになりますか。
また、日本での滞在期間が延びることもあるかしれませんが、その場合にはどのようになりますか。
A1
X国のコンサルタント及びY国のコンサルタントは、日本に4カ月滞在予定で来日しますので、入国1年を超える日までは日本の「非居住者」に該当し、日本の「国内源泉所得」のみ日本の所得税が課税されます。
御社が両コンサルタントに支払う報酬は、所得税法第161条第8号イに規定する
「給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において提供に基因するもの」
に該当し、日本の「国内源泉所得」になります。
この「給与その他人的役務の提供に対する報酬 (所得税法161(8))」は、日本に恒久的施設を有していない場合には、「源泉分離課税」になりますので、御社は報酬の支払い時に20%(H25.1.1〜49.12.31「復興特別所得税」を加算し20.42%)を源泉徴収し、翌月10日までに国に納付することになります。
ただし、日本と「租税条約」が締結されていますと取扱いが異なります。米国や香港など2000年改定後のOECDモデルの租税条約では、
「事業には、自由職業その他独立の性格を有する活動を含む」
と規定されており、「事業所得条項」が適用されます。
「事業所得条項」に、
「恒久的施設が無ければ課税されない」
とありますと、御社がコンサルタントに支払う報酬は、
『日本では免税』
となり、御社では源泉徴収の必要はありません。
実務的な手続きとして、御社は、
「租税条約の届出書」
を支払日までに所轄税務署に提出する必要があります。
ただし、日本と中国の租税条約のように、
「183日ルール」
を設けている国もあります。
(2000年改定前の旧OECDモデルの租税条約)
この場合には日本での滞在期間が183日以内であれば免税になりますが、日本での滞在期間が延期され183日を超えることが明らかになった時点で、“当初にさかのぼり課税”されますので、御社ではその時点で支払った報酬全額に対し源泉徴収を行い国に納付することになります。