世界の良書 心に残る一句
9神曲全3巻/ダンテ
地獄篇
人生の道の半ばで
正道(せいどう)を踏みはずした私が
目をさました時は暗い森の中にいた。
ベアトリーチェとウェリギリウス
「あなたに使いをお願いするわたしはベアトリーチェでございます」
地獄の門
「われを過ぎんとするものは一切の望みを捨てよ」
「先生、この耳を聾(ろう)する騒音は
何ですか?
苦悩に打ちひしがれている
この人々は何者なのですか?」
「このみじめなさまは
誉れもなく謗(そし)りもなく
生涯を送った連中の
哀れな亡霊のすがただ。
神に仕えるでもなく、そむくでもなく、
ただ自分たちのためだけに存在した
邪悪な天使の群とまじりあっている。
天はこうした奴が来ると
天国が汚れるから奴らを
追い払うが、
深い地獄の方でも奴らを
受け入れてはくれぬ。
こんな奴らを入れれば
悪党がかえって威張りだすからだ」