四八 李逵、空井戸にはいって柴進を救い出す
公孫勝の来着は宋江にとって百万の援軍にもまさる思いだった。
宋江「だれぞあの賊をきってすてるものはないか?」
高廉「だれぞあの賊をつままえるものはない?」
公孫勝は宋江と呉用に向かっていった。
「敵は今夜きっと夜襲をかけて来るに相違ありません。こちらは本陣を空にして、四方に伏勢をおき、かくかくしかじか……」
「さては、はかられたか」と高廉あわてて逃げるうち、部下の大半を失ってしまった。…ふと上を見ると、何と城頭にひるがえっているのはみなこれ梁山泊の腹印! 救援軍と見たのは、そうではなかったのだ。
「あにき、いっとくがね、おれは薊州で二度までからかわれたんだからな。三度ちゅうのは、もうごめんこうむりたいね」
「やいやい、うぬらは、ひでえやろうどもだ! なんでおいらをおきざりにした?」
「ごめんごめん、柴大人(さいたいじん)のことに気をとられて、すっかりお前のことは忘れていた」
四九 時遷(じせん)、徐寧(じょねい)の金のよろいを盗みだす
高唐州陥落、知事高廉ころされるとの報道はやがて都に達した。
(女のくせに、なかなかやるわい)
呼延杓(こえんしゃく)には「連環馬(れんかんば)」という得意の陣法があるからだ。…さすがの梁山泊軍もこれには歯が立たない。ついにその日の戦闘は物別れとなった。
「はてな」と思っているとき、とつじょ、連珠砲(れんじゅほう)が鳴りひびいたかと思うと、一千の歩軍がパッと二手に分れ、その間から三千の連環馬軍がとび出して来た。…梁山泊軍は総くずれとなり、…
「ほかのものどうでよい。あのよろいは先祖四代相伝の宝ものだ」
五〇 魯智深らの三山、梁山泊に合流する
呼延杓「さては、何か計略があるな……」
李忠「かくなる上は、二竜山の花和尚盧智深に手紙を書いて助けをもとめるほかはない。あすこには清面獣楊志とかいうやつもいるし、最近、行者武松とかいうのも来てどれもすごく強いらしい」
呼延杓がその枯木のところまで来たとき、ワーッと喊声がおこり、呼延杓はとたんに馬もろとも、落とし穴におちた。
呼延杓「わたくしを部下のひとりに加えて下さい」
呼延杓「開門開門、拙者もどってまいぞ!」