四六 柴進、高唐州にとらわれの身となる
呉学究は宋公明に向かっていった。
李逵が柴進の屋敷に厄介になってから一月ばかりだった。
皇城(こうじょう)は目にいっぱい涙を浮かべながら、
「都にのぼって天子さまに直訴して、わしのうらみを晴らしておくれ。わしの願いはこれだけだ。くれぐれも頼んだぞ」
高廉は鼻でせせら笑い、
「梁山泊の草賊め、こっちから征伐に出向こうと思っていたところを、わざわざ捕らわれに来やがったとは、もっけのさいわい、いで目に物見せてくれん」
四七 李逵、羅真人(りしんじん)をまふたつにきる
「高廉(こうれん)の妖術をやぶるものは、公孫勝をおいては、ほかにありません。いま高廉が傷を負い、城門をかためて出て来ないうちに、至急公孫勝を薊州(けいしゅう)からよんで来ましょう」
戴宗(フフフ……あいつを一日ひもじい目に会わせてやれ)
李逵「おうい、大将、ちょっとおれの足を、と、と、とめてくれよ!」
「おれのこの法はな、なまぐさが禁物だ。とくに牛肉がいけない。牛肉を一片(ひときれ)でも食ったがさいご、死ぬまで足がとまらんのだ」