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【大機小機】ベーシックインカム 同床異夢
日本経済新聞 朝刊 マーケット総合2(15ページ)
2020/8/15 2:00
最近日本のエコノミスト誌が、ベーシックインカムについて特集した。新型コロナウイルス対策として国民全員に10万円を配る特別定額給付金が、最低限の生活を保障するため無条件に定額の現金給付を行うベーシックインカムの考え方に近いという。
ベーシックインカムを現実に導入するには2つの課題がある。一つは、最低限の生活が保障されれば誰もが嫌う職場は誰が支えるのかなど、勤労に与える影響をどう考えるのかということ。もう一つは、1人当たり毎月8万円を国民全員に配れば総額120兆円の財源(今の税収のおよそ2倍)が必要だが、どう調達するのかということである。
本来ベーシックインカムは、普遍主義を主張する左派が、経済的な安定により人間らしさを取り戻す政策として提案してきたものだが、その後社会保障を極小化して自己責任の、小さな国家を目指す右派が参入し同床異夢の政策になっている。最近では米シリコンバレーの勝ち組が、人工知能(AI)の発達に伴う失業者の増加や格差の拡大への対応策を国が考えるべきだとして相乗りし始めた。思想的背景はばらばらだ。