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【大機小機】米政権交代、市場への追い風
日本経済新聞 朝刊 マーケット総合2(19ページ)
2020/8/14 2:00
一般に株式市場は、企業よりも労働者、富裕者よりも低所得者を重視する民主党政権を嫌う。通常の大統領選の年なら民主党優位の情勢に気をもんでいるはずだ。株式市場の反応が今回異なるのは、バイデン氏が中道左派で、極端に左寄りの経済政策はとらないとの安心感があるためだ。
加えて、トランプ氏の自国第一主義が修正されれば、企業にも追い風となり、政権交代によるマイナス面とプラス面とがおおむね拮抗するとの見方があるためではないか。
実際、バイデン政権が成立すれば、米国が国際協調路線に戻っていくとの期待は多い。バイデン氏は、トランプ政権が脱退を決めた地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する、としている。
貿易政策では、トランプ政権の追加関税を強く批判する一方、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰に意欲を示す。安全保障政策でも、同盟国との結束は再び強化されるだろう。こうした米国の政策転換は、日本にとっても大いに歓迎されるものだ。
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バイデン氏が掲げる法人増税、富裕者増税も、景気への悪影響を考えれば当面封じ込められよう。コロナ対策で財政環境が急速に悪化したため、歳出拡大を伴う医療保険制度の拡充等も制約される。
コロナ問題によって市場が警戒する民主党本来の政策はとられにくい状況になったのである。他方、トランプ氏のドル安政策が無くなれば、ドルへの信認が高まり海外からの資金流入が促されることもまた株式市場には追い風だ。