【寸鉄】
御書「見参してみづから
申しひらかばや」。感染防
止に留意し励ましに全力
◇
徳こそ本当の財産―偉人
地域のために汗流す我ら
は「心の財」積む大長者
◇
信頼できる友がいる人ほ
ど幸福度も高いと。友情
結ぶ学会活動は幸の直道
◎名字の言 「見送り」でよみがえった恩師との思い出
ある取材相手から手紙が届いた。万年筆で力強く書かれた文字が目に飛び込んできた。「すてきな見送り・見守り ありがとうございました。我が師を思い出しました」
▼東京の世界聖教会館でインタビュー取材を終えた後、相手の姿が見えなくなるまでカメラマンと一緒に見送った。このわずか数分にもならない行為に対する手紙だった。「きちんと見送ってくれている姿を見た時の喜びは、とても大きいものです」
▼手紙には、その方の恩師との思い出がつづられていた。半世紀ほど前、大学生の頃、恩師と地下鉄に乗った。恩師は先に降りたがホームに残った。そして、自分の息子と同じ年齢の一学生に、姿が見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。この時、「弟子にしていただこうと、感激と共に決めました」
▼心を動かすのは心。策ではない。「ただ心こそ大切なれ」(御書1192ページ)であり、「心の底から出てこなくては、人の心に届かない」(ゲーテ著『ファウスト』、池内紀訳)からだ
▼『老子』に「其の師を貴ばず、其の資を愛せざれば、智と雖も大いに迷わん」とある。自分の師を尊敬し、自分を助けてくれる人に心から感謝できる人生に行き詰まりはない。生涯、「師と共に」「同志と共に」進みたい。(側)