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2020.10.22-6

2020年10月21日 (水) 16:33
2020.10.22

〈危機の時代を生きる――創価学会学術部編〉
第2回 文学から感染症を読み解く

東洋哲学研究所研究員 山崎達也さん

例えば、古代ギリシャの哲学者プラトンは晩年、こう述べた。
 
 「『不当な利得をむさぼること』(自分の分け前より多くをもつこと、過度)こそ、身体のなかに現われるなら『病気』と呼ばれ、季節や年月のなかに現われるなら『疫病』と呼ばれる」(森進一・池田美恵・加来彰俊訳『プラトン全集13』岩波書店)と。
 
 つまり、むさぼる心が「病気」の原因となり、さらに「疫病」の原因になるということである。
 
 ウイルスや細菌が感染症の原因であることは、今日において医学の常識である。ゆえに、感染の原因をその患者個人の心の問題に帰することはできない。ただ、人類全体として見たときには、環境破壊によって野生動物のすみかが奪われ、野生動物由来のウイルスが人間社会に進出したとする説や、地球温暖化によって氷山が解けることで、そこに眠っていたウイルスの活動が始まるとする説も専門家から出ている。人間の欲望が環境破壊をもたらし、今日の感染症流行の遠因となっているのだとすれば、それは、人類が地球環境の保全に真剣に取り組むべきことを告げる警鐘なのかもしれない。


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