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2020.10.5-4(3)

2020年10月04日 (日) 20:48
2020.10.5-

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菅改革、医師会が抵抗
オンライン診療や不妊治療 病院経営へ影響懸念
日本経済新聞 朝刊 総合3(5ページ)
2020/10/4 2:00

 菅義偉首相が掲げる規制改革は業界団体との調整がカギを握る。看板政策のオンライン診療の全面解禁の恒久化には日本医師会が抵抗姿勢を示し、不妊治療の保険適用も産婦人科医らを中心に収入減への懸念の声が広がる。首相が訴える「スピード重視」を貫けるかは政権の試金石となる。

 オンライン診療は移動時間や待ち時間がなく、患者の負担を減らせる。病院での他の病気への感染リスクもなくなる。地方や過疎地での病院不足といった医療問題への解決にもつながる。

◇◇

 日医の反対理由の一つは医療サービスの対価として受け取る「診療報酬」が対面より少ない点にある。知名度が高く設備も充実した病院に患者が集中すれば、経営が立ちゆかなくなるところが出る可能性も強調する。

 首相と日医の中川俊男会長は1日、首相官邸で面会した。中川氏は面会後、記者団に「一気呵成(かせい)に恒久化するのではなく、一つ一つできるものから進めていく方向性だ」と述べた。

 同じく首相が意欲を示す不妊治療への保険適用も産婦人科医を中心に慎重な意見が根強い。保険適用されていない診療メニューを追加で選ぶ患者が減り、収入減につながりかねないためだ。診療報酬の対象にもなるため、相対的に個々の単価が下がる懸念もある。

 中川氏は「重い費用負担に悩む当事者にとって非常に朗報だ」と評価しつつ「一気に保険適用ではなく十分な議論と合意形成をしながら進めてほしい」と語った。

 新型コロナ禍での全面的な抵抗には世論の批判も集まりかねない。日医はかかりつけ医によるオンラインの健康相談などは容認の姿勢をとる。それ以上の改革は新型コロナで経営が苦しい医療機関への支援もてんびんに掛け、政府との交渉に臨むとみられている。

 日医と政治の関係はこれまで様々な変遷をとげてきた。民主党政権時代に日医は民主党支持を打ち出した。政権末期になると、横倉義武氏が自民党との関係構築を表明して会長選挙に勝利した。会長になった横倉氏は安倍晋三前首相と一貫して蜜月関係を築いた。

 そうした「政」と「医」の蜜月関係は、今年6月の会長選挙で争点に浮上した。中川氏は「調整型ではなく、いざというときにはノーと言える強さを」と主張して横倉氏の手法を批判し、会長の座を勝ち取った。

 首相も中川氏も今回の改革は、互いの距離感を手探りしながらの攻防になる。


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