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2020.10.5-4

2020年10月04日 (日) 20:12
2020.10.5-

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【チャートは語る】先進国に移民減の危機
早まる人口減、成長の制約要因に
日本経済新聞 朝刊 1面(1ページ)
2020/10/4 2:00

 世界で「反移民」の機運が高まったところに新型コロナウイルス禍が重なった。グローバル化で進んだ活発な人の移動が転機を迎えている。先進国の人口は想定以上に早く減りかねず、移民がゼロなら来年から下り坂に入るとの試算もある。移民を巡る議論は放置できなくなっている。

 9月27日、スイスは国民投票で「人の移動の自由」を定めた欧州連合(EU)との協定の継続を決めた。国境を越えて働きに来る人の流れが止まって経済が混乱し、コロナ禍に追い打ちになるのを恐れた。協定破棄を提案した右派の国民党は「移民政策(総合2面きょうのことば)の主権を取り戻す」と、16年の英国民投票でEU離脱派が使ったのと同じスローガンを掲げていた。

 移民を歓迎するか排除するか、世界は揺れてきた。米国では政府が1882年に中国人排斥法を定め、中国人に雇用が奪われるとの国民の声に応じた。1965年の移民法は国別の割り当てをやめて門戸を開いた。トランプ政権は再び規制を強めている。

 経済への影響はどうか。データのある世界53の高所得国・地域を対象に、人口に占める移民の比率と1人あたり国内総生産(GDP)を比べると、移民が多いと1人あたりGDPも高い傾向がある。移民が10〜20%の米英独仏や20%を超えるカナダなどは、5%以下の日本や韓国より1人あたりGDPが高い。

◇◇

 移民の影響は、図らずもコロナによる人手不足が顕著に示し始めている。

 「今年はコロナの入国制限などで外国人労働者が足りず、特に厳しい。米国人は農業に関心もなく、知識もないため働き手になりにくい」。カンザス州のある麦農家はこう話す。収穫期を迎えたが、人手を確保できていない。

 トランプ政権の誕生以降、移民労働者が7割以上を占める農家の倒産が増えた。米農業連合会によると、人件費は農作物の生産コストの35〜48%を占める。非正規の労働者に頼り人件費が高まっている。同団体は「現状のビザ制度では必要な労働者の4%しか確保できない」と訴える。

 先進国の人口は00年以降、7%増えており、増加分の4割強に当たる3500万人が新興国から流入した。移民が経済成長を支えてきた。

◇◇

 移民がゼロだったら、どうなるのか。国連の19年の試算では、標準シナリオなら先進国の人口のピークは36年。移民がゼロなら今年をピークに坂道を転げ落ちるように減る。30年時点の人口は標準シナリオに比べ2400万人下振れし、現在、13億人弱の人口は50年には12億人弱になる。

 ワシントン大学のスタイン・ボルセット教授らによると、ほとんどの国の出生率は2100年までに人口維持に必要な水準(2.1)を下回る。新興国とも労働力を奪い合う「移民政策が国力を左右する時代になる」。日本でも介護などで労働者不足が目立ち始めた。独メルケル首相は「人手不足は企業拠点の海外移転を招く」とみる。各国は早期の決断を迫られている。

(真鍋和也、ニューヨーク=吉田圭織)


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