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【あすへの話題】
インタビュー ジャズ・ピアニスト 山下洋輔
日本経済新聞 夕刊
2020/10/3 15:30
今年はベートーヴェン生誕250周年なのでそれにちなんだ行事が多い。不肖山下にベートーヴェンを弾け、というのもそれで、16日に池袋の東京芸術劇場で行われる。それについてのインタビューの申し込みが新聞7紙からあったが、共同記者会見というわけにはいかないので、一人一人の記者の方と会った。大体似た質問になる。
これについては「何度同じことを聞かれても怒らずに答えなさい」と昔、相倉久人さんから教えてもらった。「さっき答えただろうが!」と怒ってはいけない。それで顰蹙(ひんしゅく)をかった芸能人がいたそうだ。質問するのは毎回違う人なのだから、同じことを聞かれても初めてのような顔をして、にこにことお答えするのがゲーノー界のオキテらしい。
「ジャズマンが上手にベートーヴェンを弾きますという内容ですか?」と聞かれるが、その逆で、ヤマシタのおかげでベートーヴェンがこんなにめちゃくちゃになりました、という内容になることは間違いない。
記憶に残るベートーヴェンの曲やテーマを借りて、それをヒントにしてジャズのように変奏や即興演奏をやってしまうつもりなのだ。「エリーゼのために」もその中に入っている。どのようになるかご想像ください。
ベートーヴェン自身が即興と変奏の名手であったということは伝えられていて、そこに勝手に親近感を抱いて、おもいっきり楽しくやろうと思っている。
このようなことを、2日間で7回やりとりした。いやあ光栄ではありましたが、くたびれました。
☆山下洋輔 東京芸術劇場
ミーツ・ベートーヴェン・シリーズVol.3 山下洋輔 のチケット情報
ベートーヴェン(ピアノ・ソナタ第8番ハ短調op.13「悲愴」第2楽章)/ベートーヴェン(交響曲第5番ハ短調op.67「運命」第1楽章)/他
東京芸術劇場が楽聖ベートーヴェンの生誕250年を記念してお届けする「ミーツ・ベートーヴェン・シリーズ」。半世紀にわたり世界のジャズ界の最前線で活躍を続けてきた奇才、山下洋輔が登場。