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消えぬ東西格差 極右台頭の温床
日本経済新聞 朝刊 東西ドイツ統一30年特集(6ページ)
2020/10/3 2:00
ドイツ再統一から30年が過ぎたが、東西の格差は消えていない。住民1人あたりの国内総生産(GDP)をみると、旧東ドイツ地域は統一直後の3倍超の3万2700ユーロ(約400万円)となったが、それでも旧西ドイツとは1万ユーロを上回る開きがある。政府は旧東に積極的に投資してきたが、収益力の高い企業が旧西に偏在していることなどが原因と見られる。
さらに旧東の人口の割合は1990年の23%から19年には19%にまで落ちた。ベルリンを除く旧東の5州すべてで人口が減少しており、よりよい雇用機会を求めて若く優秀な人材が旧西に流れ出た可能性が高い。
収入が低く、自分たちだけ取り残されたという感覚は政治不信につながりやすい。19年には極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、旧東のブランデンブルク州とザクセン州、チューリンゲン州の議会選挙でいずれも2割を超える得票で第2党に躍進した。
メルケル首相は旧東の出身だが、政治や企業のトップに旧東出身者は少ない。ベルリンの壁が崩れても、東西には見えない壁が残されている。
(ベルリン=石川潤)