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改革The論点 新政権に望む(3)
インド太平洋 協力強化を
元米国務副長官 リチャード・アーミテージ氏
日本経済新聞 朝刊 総合1(2ページ)
2020/10/3 2:00
「官房長官だった菅首相とは訪日時に何度も会った。ほぼ内政に関わっていたが、この1年半あまりで変化があった。(米政府高官や議員ら)ワシントンの訪問者が会うと、彼は必ず1つ、2つは国際問題に関する鋭い質問をしてくるようになった。昨春は訪米を実現した。外交、安全保障政策の蓄積はかなりあり、心配していない」
――トランプ政権は対中政策での協力で期待が大きいです。
「日本は南シナ海問題や中国のハイテク企業の排除で十分に足並みをそろえている。日本のすべての国益が米国と合致するはずはなく、日本の国益に沿って行動するのがよい。(制裁のような強硬手段を用いず)中国の敵対心を不要にあおらず、南シナ海などで中国に誤った行動をしたと認識させることができている」
「中国は当面、反日的になることはない。米国だけでなく英国、豪州、欧州連合(EU)とも関係が悪化しつつあり、その対応に忙殺されている。これ以上戦線を広げることはないとみる」
――トランプ政権は対中包囲網の構築をめざしています。
「インド太平洋での有志国連合の結成は望ましいが、それは決して何かに対抗するものであってはならない。例えば自由でオープンなインド太平洋の実現や自由、人権といった米国の価値を拡大するという名分であるべきだ」
「東南アジア諸国連合(ASEAN)のどの国も米国か中国かの選択を望んでいない。ポンペオ国務長官はその選択を迫っている。エスパー国防長官も含め、反中をあおる物言いを修正する必要がある」
――2021年3月で今の協定が期限切れを迎える在日米軍駐留経費の交渉も控えています。
「大幅な負担増を求めるトランプ氏は理解していないが、負担の共有というのは権力を共有することでもある。もしもっと財政的な負担を日本に負ってほしいなら、重要な意思決定でも日本の比重を高めないといけない。こうした視点が米国側には常に欠けてきた」
「11月に米大統領選もある。日本はその結果を待って交渉すればよい。民主党候補のバイデン前副大統領は経験豊かで同盟国を理解している人物だ。周囲の人間の助言も聞きながらうまく対応するだろう」
――日韓関係の悪化も不安材料です。
「最悪の状態だが、必ずしも安倍前政権の責任ではないと考える。(両国が請求権問題の完全かつ最終的な解決を確かめた)1965年の日韓請求権協定、(安倍政権下で結んだ)2015年の従軍慰安婦合意から韓国が逃げたのが原因だ」
「対北朝鮮政策の要である日米韓の連携を維持するため、日韓関係は良くなってほしい。ただ、米国がこの件で両国を教え諭すようなことはやるべきではない。菅首相は火にガソリンを注がず、冷静さを保ち、韓国に打開策を探らせればよい。韓国は日本と良好な関係を築くことが国益だと理解しなければいけない」
(ワシントン=永沢毅)