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2020.9.27-4(5)

2020年09月26日 (土) 22:24
2020.9.27-

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【Deep Insight】AIが職場に生む多様性
日本経済新聞 朝刊
2020/9/26 2:00

 世界は「どこでも人工知能(AI)」の実現に向けて歩みを速める。そう感じさせるニュースが相次いでいる。3つ挙げたい。
 まず米エヌビディアがソフトバンクグループから半導体設計の英アームを買収すると発表した。4兆円を超す大型案件だ。

 スマートフォンや自動運転車、ロボットなどをネットにつなぎ、「AIコンピューティングを地球の隅々に広げる」。エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は言う。

 米アマゾン・ドット・コムを中心とするテクノロジー関連77社は、1台のデバイスで複数の音声AIが動くよう連携を深めると表明した。人間の込み入った要求にデバイスが応じやすくなる。

 例えば「A社の1年前の株価は?」とスマートスピーカーに尋ねた場合、最初のAIが答えられなければ、別のAIに助けを求めて正解にたどり着く。

 そして米マイクロソフト。チャットボット(対話型AI)事業を分社し、ビジネスを加速すると決めた。日本では女子高生をモデルに編み出したAI「りんな」で培った、自然で共感を呼ぶ対話技術を生かし、企業が顧客と双方向のやりとりをするチャットボットなどを量産する計画だ。

 「人間は1人あたり数十、数百のAIに囲まれるようになる。人とAIの相互作用が価値をつくる」。分社した新会社のハリー・シャム会長が語る。

◇◇

 賢いテクノロジーがあふれる世の中。さて、どんな姿だろうか。
 ヒントになるのは、東京のロボット会社GROOVE Xを率いる林要氏の言葉だ。人の成長を支えるパートナーロボの開発を目標に掲げ、「のび太とドラえもん」の関係を理想とする。

 「人類の強みは、自分と異なるものと協力し問題を解決すること。だからダイバーシティー(多様性)が大事だ。いまは人間同士の範囲だが、ロボットと協力することで解決能力が増す」

 キーワードが多様性ならば、私は「職場」の行方に注目したい。

 多様性のある職場が重要――。よく経営者から聞くセリフだ。普通それは性別や年齢、国籍がさまざまな人材が集うと、いい知恵や力が出るという意味合いだろう。だが、もうそれでは不十分。AIやロボットを含めた多様性という視点が欠かせなくなる。

 技術進化のペースからしても、職場はすでに転換点にさしかかったと見た方がよさそうだ。

◇◇

 診察室という職場を考えてみよう。米国の医師エリック・トポル氏は自著で、電子カルテのキーボード入力のせいで患者と真摯に向き合えず、ストレスでうつ病などになる医師が増えたと訴える。

 カルテ記入や要約をAIに託せれば医師は患者に集中できる。似たような課題がほかの職場にも多く潜んでいるのではないか。

 イライザは日本語AIによって可能になる新しい働き方をともに探る企業を募り始めた。職場革命をめぐる競争の幕開けだ。

 AIは雇用を奪う脅威だと単純に切り捨てれば機会損失を招く。

 「導入企業から『かわいい』『楽しい』との声が上がっている」。顧客対応のチャットボットをコールセンター向けに提供するAI会社、カラクリ(東京・中央)の小田志門CEOは話す。

◇◇

 もう一つ、発展途上段階の量子コンピューターも職場革命をけん引し出した。福岡市のグルーヴノーツによると、工場の生産ラインやコールセンターで、最適な勤務シフトを組むのに同社の量子サービスを使う企業が増えている。各人のスキル、同僚との相性、勤務時間や休暇希望、労使協定……。複雑な条件の組み合わせ問題を迅速に解けるからだ。

 新型コロナウイルス禍を境に、時間や場所に縛られない多様な働き方を求める声が大きくなった。配られたシフト表を見て「何か違うなあ」と思われてしまうような会社からは人材が離れていく。「ロボットと調和して働くためにも、能力にばらつきがないよう人間を最適に配置することが不可欠」と最首英裕社長は説く。

 構造的な人手不足は人材のムダ遣いを許さない。誰もが働きやすく、やりがいを感じ、面白い。デジタル時代の職場の標準形だ。


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