【FINANCIAL TIMES】低金利の罠 BISが示す
米国版エディター・アット・ラージジリアン・テット
株高に異例の警鐘
日本経済新聞 朝刊
2020/9/23 2:00
今年、株式投資家は中央銀行のために「万歳三唱」を叫び続けてきた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、3月に金融政策を劇的に緩和したことで、市場の総崩れを食い止めた。それ以来、米株式市場は何度も史上最高値を更新している。直近では、FRBは雇用を重視して高めのインフレを容認する新たな物価政策を導入した。16日、FRBがコメントを通じてこの政策を支持していることを明確にしたこともあり、株価は上昇した。
しかし、もし国際決済銀行(BIS)の専門家が正しければ、パウエル氏などの中央銀行家が本当に浴びてしかるべき喝采の正確な量はもっと少ないはずだ。最大で三唱だとしたら、米国の株式に対して1.5唱、欧州に対して0.5唱といったところだろう。
BISは金融システムを評価する最新の四半期報告の一環として、3月以降の今年の株式相場反騰のうち、どれくらいが低金利によってもたらされたものかを数値化しようとした。算出の結果、緩和的な金融政策の効果は「米国とユーロ圏の株価反発のうち、それぞれ半分近くと5分の1」を占めることを示唆している。
この計算は注目に値する。何より、中央銀行組織がこうした明確な数値を公表することは珍しいからだ。BISはよく、中央銀行に対する中央銀行と呼ばれるだけになおさらだ。