Contents
RSS 2.0

ブログ blog page

2020.9.23-4(2)

2020年09月22日 (火) 23:04
2020.9.23-

??????????

【The Economist】「環境保護強める中国」の実態
日本経済新聞 朝刊
2020/9/22 2:00

●中国では川のゴミを拾うボランティア活動も最近は増えているという(写真は重慶の長江にたまったゴミ)=ロイター

◇◇

「中国人は公共心があるならもっとゴミへの意識を高めるべきだ」――。出版社を勤め上げて引退した上海出身のチェン・ユー氏は、ある土曜日の午後、長江の土手でゴミを数える調査に参加した後、こう語った。

◇◇

 このほど出版された「環境保護を強める中国(China Goes Green)」の著者らは、中国の非政府組織(NGO)と政府当局との関係の近さが、しばしば国外の活動団体にそうしたNGOには近づきたくないと思わせる原因になっていると指摘する。中国は「生態系に配慮した文明(エコ文明)」を構築し、そのモデルを世界と共有するという大胆な目標を掲げており、それを分析したのが本著だ。共著者の一人である米アメリカン大学のジュディス・シャピロ教授は、こんなエピソードを紹介している。

◇◇

 オランダのある財団が、中国の有名な環境NGO「公衆環境研究中心」の創設者、馬軍氏を表彰したいと考えたが、同氏が「中国政府とのつながりが強すぎる」人物ではないかと相談を受けたというのだ。シャピロ氏は同財団に、その懸念は見当違いだと伝え、中国の市民社会団体は、治安当局の役人とお茶を飲みながら「おしゃべり」することも含め、常に政府の政策に反することをしていないか厳しい監視を受けている点を理解すべきだと説明している。シャピロ氏によれば、そうした中で馬氏は市民社会団体に許される活動領域を広げた人物だ。馬氏の団体は、環境規制をきちんと実行できるよう一般市民が政府の担当者らと協力しつつ、環境を汚す者や汚染する企業を通報できるようにしたのだ。

◇◇

 中国の内モンゴルやチベットに暮らす遊牧民はかつて家畜を取り上げられ、「近代化」という名の下、殺風景な集落に強制移住させられた。今は「環境保全のための移住」を強いられている。草食の家畜から草原を保護するためというのが表向きの理由だ。地元住民や環境問題の専門家の反対を押し切って巨大な水力発電ダムを建設するのは今に始まったことではないが、気候変動との戦いを口実にしている点が昔とは異なる。

 国外では、世界的なインフラ整備計画「一帯一路」の環境保護実績をアピールする。途上国に低コストで環境保護技術を提供していると胸を張るが、指導部が本当に環境を重視するかは自分たちの都合による。国益のために遠く離れた海に漁船団を派遣して水産資源を略奪させ、外国政府と不透明な契約を結んで、その国に石炭火力発電所や環境汚染につながる鉱山開発、生態系を破壊するダム建設などを進めてきた。そして地元で抗議運動が起きると、その国の独裁的な政府にその鎮圧を任せることが多い。

 同書は、中国の容赦ない上意下達式の統治こそが国内外の環境に直接害を及ぼしているのではないかとも問いかけている。

 これは重要な問題だ。自由民主主義諸国が環境問題にうまく対応できていないようにみえる今、中国のテクノクラートによる断固とした一党独裁モデルこそが地球に残された最後の期待できる望みではないかと考える外国人が増えているためだ。「中国が地球環境問題の救世主となるのか」といった書籍や「環境独裁主義の到来(The Coming of Environmental Authoritarianism)」といった論文が登場し、気候変動への取り組みに対する中国の誓いや、風力発電や電気自動車への巨額投資を称賛している。しかし、こうした国外の称賛者の中には後に、独裁政権による強制は、環境に悪影響を与える行動を抑制する唯一の方法なのかと(後悔の念を持って、その度合いは様々だが)自問するケースが少なくない。

◇◇

 過去の実績を調べると、現実には中国の独裁主義はむしろ環境を悪化させることの方が多い。環境保護政策を推進する理由が環境を本当に改善したいのか、それとも何としても社会を管理したいという執念なのかわからない場合がある。

 昨年7月に上海で施行されたリサイクル規則を例に取ろう。確かにこの規則は現実の問題に対処すべく導入されたものだが、実に事細かく手のかかる分別を指示しており、住民を信用していないことがありありと分かる。

 「環境保護を強める中国」のもう一人の著者であるニューヨーク大学上海校の李逸飛氏は、同書に上海市のゴミ担当の検査員らと会話した時の様子を書いている。住民のゴミ袋の中身を徹底して調べる権限から、決められた時間外にゴミを出す住民を罰する権限まで話した中で、複数の検査員がゴミを捨てる大きな容器には早晩、違反者をつかまえるための顔認証カメラが取り付けられ、そうなれば「秩序だった未来」に一歩近づくと誇らしげに語ったという。

 だが、真に持続可能な未来の実現に必要なのは秩序と支配だけではない。それは市民の自由意思に委ねられるべきであって、強制によって地球を救うことなどできるはずはない。

(9月12日号)


トラックバック

トラックバックURI:

コメント

名前: 

ホームページ:

コメント:

画像認証: