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【NAR Exclusive】香港国家安全法、学術交流に影
台湾からの留学志願者も急減
日本経済新聞 朝刊
2020/9/20 2:00
学者や学生らにとって、香港の大学は長きにわたり研究や議論が自由にできる安全な場所だった。だが、台湾の国立政治大学でコミュニケーション学の教授を務めるキャサリーン・チェン氏をはじめ、多くの学者らには、もはやそうではなくなってしまったようだ。
●コロナ禍で人の出入りが減った香港の大学(写真左=ゲッティ共同)と街中に掲げられた香港国家安全維持法の広告(写真右=ロイター)
「香港の社会不安や台湾の総統選について表だって発言すると、自分にどんな影響があるかわからないと思った」
「特に政治学が専門の教授らは香港での学術交流や講演への参加に消極的になっている」
(大学側から)「香港で抗議デモが始まって以来、こうした本を出版できる香港の大学はない」と言われたという。
香港の大学の多くは政府資金で運営されている。親中派の議員らの反対などもあって、抗議デモに学生らが深く関与したとされる大学3校への19年の政府支出は約16億5千万香港ドル(約224億円)削減された。このため、最近は香港の大学の教員、その中でも特に「テニュア(終身雇用権)」を取得していない若い学者らは以前よりも慎重にふるまうようになってきているようだ。
香港の名門校、香港大学で経営学の教授を務めるN・R・リウ氏は、「これまでのように学問や研究をできるのかわからない」
香港の大学で金融を専攻している台湾人学生アラン・チェンさん(20)は卒業後は香港以外で就職することも検討している。香港が金融センターとして存続するかどうか、先行きが見通しにくくなってきたからだ。「シンガポールなど香港以外のアジアの金融センターで就職するなど次善の策を考えなければ」と語る。
ただこの一方で、米中の政治対立やコロナ禍により欧米に留学ができなくなった中国本土の学生が相次ぎ香港に来ている。香港大のリウ教授は「これが(香港にとって)明るい兆しだ」としている。
(香港=陳綺●(あめかんむりに文)、台北=鄭婷方、黎子荷)