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2020.9.14-6(3)

2020年09月13日 (日) 10:56
2020.9.14-

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東京富士美術館 
「THIS IS JAPAN」展の注目作品と見どころ

多種多様な作品群に触れ日本文化の良さを再発見
 身近な動物などを親しみを込めて描いた“カワイイ”美術は、庶民が文化を担った江戸時代に特に花開いたといわれる。
 
 その中には、不気味だが、どこかかわいらしさを感じさせる作品もある。近年、若者の間で使われる「キモカワ」という言葉に通じる。展示の一つ目のテーマは、この「キモカワ」である。
 
 江戸中期の絵師・伊藤若冲は動植物を丹念に写生した「動植綵絵」で知られるが、「鶏図」はニワトリを軽妙なタッチで真正面から捉えた作品。ユーモラスな顔と米俵に片脚で立つ姿がかわいらしい。

 二つ目のテーマは「サムライ」である。彼らは、戦や政治にいそしんだだけでなく、ファッションや室内装飾にもこだわっていた。
 
 「白糸裾萌葱紺威鎧 兜・大袖・小具足付」は幕末の薩摩藩主・島津斉彬が所用したと伝えられる。胴前面には、伝統的に縁起の良い取り合わせとされる獅子と牡丹の文様があしらわれ、籠手には美しい蒔絵が施されている。


 三つ目のテーマは「デザイン」。この分野で一世を風靡し、海外にも影響を与えたのが「琳派」と呼ばれる画家たちである。日常的に使うさまざまな生活用品の装飾を手掛け、俵屋宗達、尾形光琳が代表的な絵師。その特徴はシンプルな描写と斬新な構図である。
 
 「風神雷神図襖」は琳派の巨匠たちが手掛けてきた重要画題を、江戸後期に活躍した鈴木其一が襖4面の表裏に描いたもの。墨のにじみで表現された柔らかな雲を従えて、白の雷神と緑の風神が広々とした空間を舞う。

 四つ目のテーマは「黄金の国」。マルコ・ポーロが『東方見聞録』で日本を「黄金の国」と紹介したが、古来“金”を使った芸術は日本で愛されてきた。とりわけ桃山時代以降、貴族や武士の生活を飾る日用品や工芸品に“金”が多用された。その極致は蒔絵装飾であろう。
 
 「鹿秋草蒔絵硯箱」は全面に蒔絵が施され、“金”をはじめ金属の小片が貼り付けられたり、文様の形に切り抜かれたりしている。ふたの表から裏、本体にかけて、鹿と菊、萩などの秋の草花の文様が連続しており、巧みで細かい技がうかがえる。


 五つ目のテーマは「四季」である。季節の移り変わりで色や形の豊かな変化がある日本。平安時代から、四季をモチーフにした自然描写は、絵画のみならず、詩歌や文学をはじめ、能や歌舞伎といった舞台芸能に取り入れられてきた。
 
 明治期の日本画家・橋本雅邦の「桜花紅葉山水図」は、双幅の作品。右側では桜咲く春爛漫の情景に雉が飛び、左側では紅葉が舞い散る秋の景観のかなたに雁の群れを望む。それぞれの画面から季節を感じられる、風情にあふれた逸品である。

 最後に、日本人にも外国人にも親しまれる「富士山」が六つ目のテーマ。堂々とした山体は、芸術を生む源泉となってきた。
 
 江戸後期の浮世絵師・葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、画家ゴッホや作曲家ドビュッシーが刺激を受け、作品を制作したことでも知られる。激しく逆巻く大波と、波間からはるか遠くに見える富士山。動と静、遠と近を対比させた絶妙な構図である。北斎は、ほかにも朝の光に照らされた赤富士の作品などで好評を博した。

▽会期=11月29日(日)まで。月曜休館(9月21日、11月23日は開館)。9月23日(水)、11月24日(火)は休館。
 
 ▽開館時間=午前10時〜午後5時(入館は同4時半まで)。


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