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ハイテク株、過熱一転
テスラ、オプション9割安 アップル「恐怖指数」急上昇
日本経済新聞 朝刊
2020/9/10 2:00
米国のハイテク株の調整が続いている。8日の米国市場ではテスラ株が前週末比21%下げ、ハイテク株の多いナスダック総合指数は2日の最高値から1割下げた。調整が大きい背景には、個人投資家などが「マネーゲーム」の様相を強めていた反動がある。テスラ株の金融派生商品には、わずか1週間で9割安となったものもある。急激な損失に慌てた売りが株価下落を加速させている。
米ハイテク企業は新型コロナウイルスの影響下でも収益を伸ばせるとの期待から、株価上昇が目立っていた。アップルとテスラは3月末から直近のピークまでに、それぞれ2倍強、5倍に急騰していた。8月以降はフェイスブックなどでも株価上昇に弾みが付いた。
テスラ株は9月1日の最高値から、わずか1週間で3分の2になった。オプションの値動きはさらに大きく、取引量の多かったコール・オプション(権利行使価格500ドル、満期9月18日)の価格は1日には一時50ドル近くに上昇したが、8日には5ドル以下となった。
ソフトバンクGの取引はコール・オプションの値上がりにのみ期待したものではなく、複数のオプションを組み合わせているもよう。価格変動リスクを抑制する目的にも活用しており、コールの持ち高が損失の規模に即つながるわけではない。
ただ、米ハイテク株の調整が深まるとみた機関投資家や、個人投資家も手じまい売りに動いているもよう。未上場のハイテク株を多く保有する「ビジョン・ファンド」の収益悪化懸念のほか、新規に始めた上場株投資の先行き不透明感も嫌気されている。
(二瓶悟、ニューヨーク=後藤達也)
▼オプション取引 ある特定の日(満期)に決められた価格(権利行使価格)で、株式や株価指数を売買できる権利の取引のこと。売る権利をプット、買う権利をコールという。例えば、ある株を1カ月後に100円で買う権利を5円で買った場合、実際の株価が105円以上になればもうけになる。