〈人生の価値はここに 創価大学同窓の友を訪ねて〉
? 新潟
創価教育の体現者に
●濃淡ある美しい緑の大地を悠々と流れる信濃川。創価同窓の人材の流れは、日本最長を誇る大河のように(新潟・津南町で)
創価教育の父・牧口常三郎先生は1871年、雄大な日本海を望む新潟県の荒浜で生を受けた。少年時代に、砂浜を“黒板代わり”に使うほどのあふれんばかりの向学心は、やがて、教育学の研究に注がれ、『創価教育学体系』として結実。「幸福が人生の目的であり、従って教育の目的でなければならぬ」との牧口先生の叫びは、今や多くの教育者の心に脈動している。
かつて創大創立者の池田先生は語った。「牧口先生は、『羊千匹よりも獅子一匹』と言われた。本物の『獅子』を育てる。強き強き『人間』を育てる。それが『創価教育』である」と。
●酒井武さん
「“君たちの舞台は世界だ”と呼び掛けられる創立者のご期待が、私の何よりの原動力です」と瞳を輝かせるのは、酒井武さん(25期、経営学部卒)。14年前に、上越市にダンススクールを開き、講師を始めた。
創大時代にはクルーダンス部で青春の汗を流した。全国大会で躍動の舞を披露した経験も。情熱的な先輩や仲間たちと切磋琢磨する中で、ダンスの技術だけではなく、“強く生き抜く人生哲学”を深く心に刻んだという。
「当時、創立者の前で踊りを披露する機会を何度もいただきました。温かなまなざしを注ぎ、激励してくださる姿に、ダンサーとして応えたいと誓ったんです」
●西川弘美さん?と夫・伸作さん
「福祉に携わる中で『英知を磨くは何のため』との指針が一層、心に響きます」――西川弘美さん(16期、文学部卒)は、柏崎市内の病院で、医療相談室の係長、ソーシャルワーカーとして勤務する。
当初は一般事務職を担当していたが、30代半ばで社会福祉士、精神保健福祉士の国家資格を取得。2010年には、同市で初めての認知症地域支援推進員に任命され、介護・医療施設への講師派遣など、活躍の舞台は県内外に広がった。
「一瞬の出会いにも全精魂を込めて、眼前の一人を励ます創立者の姿が、まぶたに焼き付いています。その心をわが心として、社会福祉の現場で一人一人に寄り添いたい」
創大同期の夫・伸作さん(経済学部卒)も、弘美さんと共に奮闘。「仕事と資格勉強の両立に励む妻の姿に触発されて、負けず嫌いの私も社会福祉士の資格を取りました」と笑顔で語る。
“平凡であってもいい。自分らしく、庶民を勇気づけていく偉大な人生を”
●松?祐太さん
牧口先生の母校である荒浜小学校で、教壇に立つ松?祐太さん(35期、教育学部卒)。昨春からは教職大学院にも進み、国語の教授法の研究に力を注ぐ。
教師になる夢を抱いたのは中学生の頃。創価高校に進学後、“私の最後の事業は教育”との創立者の言葉に、教師への憧れは、強い決意に変わっていった。
創価大学では、パン・アフリカン友好会に所属。貧困や難民など、諸課題が山積する“世界の縮図”の実情に関心を持つようになった。大学4年時には、ケニアのナイロビ大学に留学。スラム地域の学校で、将来の夢を熱く語る子どもの笑顔が今も忘れられない。
「彼らの姿を通して、生き生きとした学びや成長の機会をもたらすことが、本来の教育だと感じました」