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〈SDGs特集〉
食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんに聞く
命を大切にする社会へ
●日本では年612万トンが廃棄 都民が1年間に食べる量と同じ
――日本における食品ロスの現状について教えてください。
本年4月の農林水産省と環境省の発表では、日本で発生する食品ロスは年間612万トンに上ります。これは、東京都民約1400万人が1年間に食べる量に当たり、日本人全体でいえば1人が毎日、おにぎり1個分を捨てている計算にもなります。
食品ロスの出どころは大きく二つに分かれます。一つは家庭。もう一つは、事業者です。612万トンのうち、家庭が46%、事業者が54%を占めています。消費者は、「ほとんど企業が捨てているのでは?」と思いがちですが、実は半数近くが家庭から発生しているのです。
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」には、“2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させる”と掲げられていますが、先進国が途上国の分まで考慮して、食品ロス問題に積極的に取り組んでいく必要があると思います。
解説
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な消費と生産の確保を目指すもの。掲げられている11項目のターゲットには、天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用、食料廃棄や廃棄物の削減などが盛り込まれており、企業や行政機関の取り組み、開発途上国に対する科学・技術分野への支援などもうたわれている。持続可能な消費と生産を実現するに当たって、「食品ロス」は重要な課題となっている。