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◎座標軸(公明)
2020/09/06 2面
「全員が安全になるまでは誰も安全にならない」――。8月中旬、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、一部大国による新型コロナウイルスのワクチン開発を巡る囲い込みの動きに、強い懸念を示した。感染者は世界中にいる。自国中心主義では、見えないウイルスとの闘いは好転しない
◆一方で、この動きには注目したい。低所得国を含めて幅広くワクチンを供給する国際枠組み「COVAXファシリティー」である。WHOなどが主導し、ワクチンを複数国で共同購入して資金力に乏しい低所得国にも配分する。公明党が重ねて訴え、政府は1日、参加する意向を表明した
◆難局には、無私の信念と実行力を備えたリーダーが必要である。今から百年以上前の日清戦争後。医師でもある政治家・後藤新平は、コレラが猛威を振るう中国からの復員兵23万人の検疫を成し遂げ、国内の感染拡大を阻止した
◆後藤は、人々の生命や生活を「衛る」衛生政策を最優先した。生活を支えるため経済への目配りを忘れず、心強い支え手も得てブレずに不人気な施策も進めた。地位が人をつくるよりも、「『器量が地位をつくる』タイプ」(『時代の先覚者 後藤新平』御厨貴編)だった
◆遠からず、次の日本を担う政治指導者が決まる。私心なき人がふさわしい。