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2020.9.6-5(5)

2020年09月05日 (土) 17:29
2020.9.6-5

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 現在、全国的な感染症の影響に加え、豪雨や台風などの自然災害が重なることが懸念されている。

 「今こそ、双葉郡の経験を全国に伝えたいんです」。三枝さんは、復興支援専門員として“地域防災”の情報発信に力を入れてきた。本年は、千葉県の公民館に掛け合い、福島の写真展も開催した。

 富岡町に戻って3年。三枝さんは郡内を駆け回ってきた。
 「一度は離れた故郷。なんでここまで“双葉”にこだわるのか、自分でも不思議でした」

大震災から2年後の2013年3月11日、一般紙の朝刊が目に留まる。原発事故による避難指示が続き、津波で破壊されたままになっている富岡駅の駅舎の写真が載っていた。
  
 2年がたって、改めて突き付けられた故郷の現実。実家は線路に近く、「いつも電車の音が聞こえていた」。
 故郷を奪われた実感が、初めて込み上げる。悲しみ、怒り、喪失感……。涙があふれて、止まらなかった。
  
 御本尊に向かう日々が続いた。真剣に祈る中で、三枝さんの心に「富岡のために、何かしたい」との思いが湧いた。気持ちを打ち明けると、夫や大学生だった娘も応援してくれ、地元・千葉の同志も背中を押してくれた。

仕事を探し、地域と研究機関をつなぐ拠点「相双地域支援サテライト」への就職が決まった。17年、復興支援専門員となり、35年ぶりの故郷での暮らしが始まった。
 「和代ちゃん、おかえり」。創価学会の同志は皆、温かかった。それぞれが言い知れない苦悩を抱えているはずなのに。それでも前を向く姿に「学会員さんは本当にすごいって心を打たれました」。
  
 仕事で郡内を回るうちに、新たな地域をつくろうと挑戦する人たちに出会った。
 「避難指示が解除されても戻ってこれる人は少なくて、急速な人口減少、高齢化が進んでいる。だけど、それはいずれ日本のどの地域もぶつかる“課題”。そんな“先進地域”で、新しい町づくりに挑む方々の姿が、希望に思えました」
 三枝さんは、そうした人たちに寄り添い、挑戦を後押ししてきた。

●一人の可能性を信じ、リスクに立ち向かう
  
 感染症や災害など、さまざまな危機が重なる現代社会。世界のどこにも、リスクがゼロである場所など存在しない。
  
 三枝さんは、双葉郡の“挑戦者”たちに寄り添う中で、「大事なのは、いざリスクにぶつかった時に、そこからどうやって立ち上がるかだと思うんです」と実感している。

2人に共通していたのは「復興とは“人づくり”」というメッセージだった。
 人が挑戦し、人が結び付き、人が強くなる。そうした人々が、地域を越えて横に広がり、世代を超えて縦につながる時、町の魅力は以前にも増して輝きだすという。
  
三枝さんが、双葉にこだわる理由は何だったのか――。
  
 故郷に戻り、“人づくり”の大切さを教わる中で思い出したのは、幼い頃の記憶。
 小学生の頃、両親と一緒に参加した、創価学会の会合。皆がいつも温かく迎えてくれた。
 「婦人部のおばあちゃんが、自分の孫みたいにかわいがってくれて。会うたびに褒められて、褒められて……。この町には、私を育ててくれた信心の原点が詰まっていたんです」
  
 創価学会では、同志のつながりの中で、一人一人が自分の生き方を定め、行動する強さを育んでいる。三枝さんは「学会の人材育成こそ、リスクにあっても立ち上がる力だと思うんです」と。
    
 池田先生はつづっている。
 「一人の人間が『わが身』の真実の可能性を知った時に、一人の偉大な人間革命が始まります。自身の尊極にして偉大な可能性に目覚めた人は、他者の存在の尊さにも気づきます。自他共の尊厳性を心から認め合えれば、人類は境涯を高めることができます。自他を覆う無明を打ち破れば、人類は相克と葛藤の宿命を転換することができます」
  
 双葉郡にともった小さな希望の灯が、日本の未来を照らしていく。


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