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【NAR Exclusive】マレーシア・FGV、復活の兆し
パーム油から事業多角化
日本経済新聞 朝刊 グローバルアイ(8ページ)
2020/8/30 2:00
マレーシアのヤシ農園大手FGVホールディングス(旧フェルダ・グローバル・ベンチャーズ)が新規株式公開(IPO)を果たしたのは、米フェイスブックが米ナスダック市場に株式を上場したのと同じ2012年だった。フェイスブックがIPOにより160億ドル(約1兆7千億円)を調達した数カ月後、FGVはクアラルンプール証券取引所に上場して104億リンギ(約2600億円)を調達し、投資家からは一時、フェイスブックに次ぐ有望株と期待されていた。
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FGVが業績不振に陥った背景には、同社の元幹部による汚職疑惑や不正な投資、訴訟などがある。上場後の農園への不正な投資に続き、15年には政府の意向を受けて同社が海外の農園運営会社に評価額より不当に高い価格で出資したとの疑いが浮上した。
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そんなFGVが最近、復活の兆しを見せている。FGVは大株主が連邦土地開発公団(FELDA)で、上場した後も政府機関とみられがちだった。だが、交通機関や他の農園企業などで実績のあるハリス・ファドジラー・ハッサン氏が19年1月に最高経営責任者(CEO)に就任して以来、事業の多角化や不要な資産の売却などを柱とする改革を進めている。
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海外では、13億人超の人口を抱えるインドを成長市場と位置づけている。パーム搾油工場の生産技術などを持つ現地企業と合弁会社を設立する契約をすでに結んでいる。準備が整えば、現地で食用油などを割安な価格帯で供給する。
事業を合理化するため、資産の売却も進めている。約1億2600万リンギ相当の資産を売却することで、18年度に約10億8千万リンギだったFGVの最終赤字は19年度には2億4200万リンギ程度に縮小した。ハリス氏は「20年度は1億5千万リンギの資産を売却する計画だ」と語る。
ただ、多角化した事業が軌道にのるには時間がかかるとの指摘もある。マレーシアの政府系金融機関、マレーシア工業開発銀行(MIDF)のアナリスト、コー・ゼン・イー氏は「FGVは今もパーム油と砂糖事業に大きく依存した状態だ」と語る。それでも、ハリス氏は「FGVのこれまでの状況は過去のことになるだろう」としている。
(クアラルンプール=プレム・クマール)