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【大機小機】異例ずくめの米大統領選の先
日本経済新聞 朝刊 マーケット総合2(19ページ)
2020/8/26 2:00
今回の大統領選はいくつかの点で異例だ。
第1に、年初から世界を襲った新型コロナウイルスの感染がおさまらない非常時のもとでの選挙戦ということだ。候補者は遊説もままならず、党大会など重要イベントもオンライン開催となった。感染防止のため郵便投票が急増する見通しになり、それに反対するトランプ氏と民主党の間でさや当てが起きている。
第2に、今回は「トランプか否か」をめぐる選挙であることだ。現職の再選をかけた大統領選は1期目の実績への信任投票の色彩を帯びるのは常だが、今回ほどそれがはっきりする例は珍しい。民主党の候補者選びも「誰ならばトランプに勝てるか」が主要論点で、中道穏健派のバイデン候補のもとで左派も含め団結した。2016年のクリントン候補の際は見られなかった現象だ。
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こうした状況を映して今のところ世論調査ではバイデン氏がトランプ氏をリードしている。今後、候補者討論会など重要イベントもあり、予断を許さないが、そろそろトランプ後の世界がどうなるかも考えたほうがよい時期だろう。
何でも自己の利益をもとに考える。国際機関や同盟国との協調を軽視する。専門家や科学者の意見をまともに聞かない。敵と味方をはっきりさせ、分断をあおることで自らの力を高めようとする。
今や米大統領の「新常識」となったこれらのことが変わるだけでも「トランプ後の世界」は今とはずっと違った景色に見えるのではないだろうか。
(琴線)