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バフェット氏、苦肉の決算
バークシャーが過去最高の自社株買い
傘下企業、コロナでリストラ
日本経済新聞 朝刊 国際(4ページ)
2020/8/10 2:00
【ニューヨーク=宮本岳則】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが8日発表した2020年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比87%増の262億ドル(約2兆7600億円)となった。アップルなど保有銘柄の株価が回復し、評価益が最終損益を押し上げた。4〜6月期に実施した自社株買いはバークシャーの四半期としては過去最高額となった。
従来は否定的だった自社株買いに50億ドル(約5250億円)を費やした。米調査会社ファクトセットによると、直近までの最高額は19年10〜12月期に実施した20億ドルだった。バフェット氏は長年、「株主還元よりも投資に使いたい」と主張してきたが、18年以降は方針を転換し、徐々に自社株買いを増やしてきた。
バークシャーはかねて膨大な手元資金の使い道が課題だった。6月末時点の現金・同等物は1465億ドル(15兆円)と過去最高を更新した。コロナ下で開かれた5月の株主総会で、バフェット氏は「最悪シナリオを考えると多すぎるわけではない」と釈明していた。それでも自社株買いの拡大を決めたのは、株主からのプレッシャーが高まっていることを意味する。
悩みは現金の使い道だけではない。4〜6月期は無形資産の減損損失108億ドルを計上。傘下の金属部品メーカー、米プレシジョン・キャストパーツ(PCC)の将来見通しが悪化し、買収時に計上した「のれん」の減損を余儀なくされた。16年にPCCを総額372億ドルで買収。バークシャーの過去最大のM&A(合併・買収)案件だ。
PCCの4〜6月期の売上高は前年同期に比べ33%減った。主要納入先の航空機製造業で生産の遅れなどが発生した。PCCは固定費圧縮の一環で、前年末の全従業員数の3割にあたる1万人を上半期中に削減した。
バークシャーの実態は複合企業(コングロマリット)に近い。原則、買収後も経営陣は変えず、人員削減もなし。買収戦略でプラスに働いていた。コロナ禍で「バフェット流」は通用せず、リストラに追い込まれた。
「今日が株を買う良い日かどうか分からない。20〜30年の保有ならうまくいくだろうが、2年なら分からない」。バフェット氏は5月の株主総会でこう述べた。従来よりも慎重発言が目立った。
バークシャーは7月5日、米ドミニオン・エナジーから天然ガス輸送・貯蔵事業を総額97億ドルで買収すると発表した。投資再開が見通しの改善を示すなら、株式市場にとって良いサインだ。バフェット氏の一挙手一投足に注目が集まる。