春秋
「世界一幸せな動物」。もちろん人間のことではない。こう呼ばれるのは小型のカンガルーの仲間、クオッカ。この春、生息地であるオーストラリアの動物園から、埼玉県こども動物自然公園にやって来た。7月から整理券を配っての公開が始まり、人気を呼んでいる。
▼「幸せ」の理由は口の両端が上がっていて、いつも笑っているような表情だから。来園したのは4匹――のはずだったが、先日1匹のメスのおなかの袋から赤ちゃんが顔を出し、5匹ということになった。さすが「世界一」の名に恥じない、驚きの展開である。のびのびと草を食(は)む姿を見れば、自然とこちらが笑顔になる。
▼「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」。米国の心理学者、ウィリアム・ジェームズの名言である。笑いが健康によい影響を与えることは様々なデータが示している通り。不機嫌な顔をしていると、ますます不機嫌になってしまう。形だけであろうと、笑顔をつくれば自分の脳をだますことだってできるのだ。