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◎【グローバルオピニオン】
米、世界経済の回復主導を
独アリアンツチーフ・エコノミック・アドバイザー
モハメド・エラリアン氏
グローバル経済に目を向けると、米国は現在、先進国の中で最も保護主義的といえる。緊密な国際連携が求められている時に、トランプ政権は多国間主義を避けている。米国を中心としたグローバル経済のシステムの強さと信頼性への疑念が深まっている。中国も米国の動きに応じ、代償としてシステムが細分化されてしまう。
FRBは市場への関与について、より慎重になる必要がある。FRBが資産購入などの措置を強化すれば、市場の機能が損なわれる。注意しないと、意図せずに米国の市場に基づくシステムをつまずかせる。生産性の足を引っ張るゾンビ企業を下支えし、真の経済成長を果たした際の高い資産価格を低下させてしまう恐れがある。
米国の政策立案者は協力して多国間の政策議論を活性化し、ルールに基づいたグローバル経済のシステムを改善することで、世界経済における主導的地位の回復を探るべきだ。米国は回復に向け、停滞している国際通貨基金(IMF)や世銀の統治改革も進める必要がある。
●注視すべき副作用
コロナ危機はグローバルなものであり、対応も国際的な協力のもとに進めるべきだ。その意味で、世界最大の経済大国である米国が内向きの姿勢と距離を置き、同国や世界の経済回復に向けて積極的に動くのは意味のあることといえる。ただ、同時に気をつけておくべきことがある。エラリアン氏が指摘する通り、「どんな国であっても、米国の成長や国際金融システムの安定、金融政策の余波を受ける公算が大きい」という点だ。
特に、米金融政策の動向は注視すべきだろう。現在、FRBは新たな政策を検討している。イールドカーブ(利回り曲線)の操作やマイナス金利政策といった対応をとる可能性も、取り沙汰されている。
新しい政策は為替相場などの変動を通じて、日本経済にも様々な影響を及ぼすことが予想される。危機が深刻であればあるほど、米国の対応策は「劇薬」になりやすい面もある。効果だけでなく副作用がどうグローバルに波及するかも、注視すべきだ。