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2020.7.7-4

2020年07月07日 (火) 00:20
2020.7.7-4

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◎春秋
「銅像はつらいよ」

▼長州出身の軍人・政治家の寺内正毅の銅像には長州閥に反発する人々などから「ペンキをぶっかける」などと脅迫めいた投書が殺到した。

日露戦争の講和条約に不満を抱く庶民が明治の元勲、伊藤博文の像を引き倒し、市中を引き回す事件も起きた。太平洋戦争の金属類の供出令では9000超もの銅像類が失われている。

▼米国や英国でいま、探検家コロンブスや奴隷商人らの銅像が次々と撤去されている。黒人や先住民への差別にかかわった人物だと落書きされたり海に投げ入れられたりしている。ニューヨークの米自然史博物館の正面に立つ、黒人と先住民を従えたセオドア・ルーズベルト大統領の馬上像もついに撤去の方針が発表された。

銅像の「受難」が続くだけでは、未来を切り開けない。

◎【FINANCIAL TIMES】米が払う覇権時代の代償
USポリティカル・コラムニスト ジャナン・ガネシュ

1929年からの世界大恐慌の方が悲惨だったかもしれないが、当時は感染症の大流行はなかった。しかも33年から米国を率いた大統領はルーズベルトで、進むべき道を見失った様子で混乱しているトランプ氏ではなかった。その意味で、コロナの感染拡大を抑えるために十分な投票準備が必要な大統領選挙を11月に控え、事態はさらに悪化する可能性が高い。

コロナ対応にしても確かに米国はお粗末だが、やはり悲惨な結果を出している他国(例えば英国)は、海外でそれほど大々的に報道されずに済んでいる。

こうした注目は、経済と軍事の両面で覇権を握っていた時代に米国が払った代償だ。世界のリーダーには決して重すぎる負担ではなかった。しかし中国に経済力と軍事力で追い上げられるようになり、この慰めはもはや通用しない。

 つまり米国は考えられる中で最悪の状況にある。対外的な影響力も国民の結束力も明らかに衰えている。変わらないのは世界中の人間にとって重要な意味を持つ国と思われていることだ。その結果、いかなる国も経験しないほど注意が向けられるようになった。外からの目が厳しくなるほど、より多くの問題点が露呈し、世界から尊敬を集めにくくなる。

 中国が米国に対抗するうえで明らかに有利な点は、4倍超の人口と一党独裁体制により長期計画が立てられることだ。あまり語られていないが、少なくとも現時点では米国ほど、世界から執拗にのぞかれていないこともあるだろう。

一極体制時代に米国への注目度が最も高かったのは当然だ。それが依然変わらないのは米国がメディアに開かれた国であり、英語が公用語であることが大きい。ただ米国には自らを「人類の模範」のように見なす人たちがいることも忘れてはならない。自分たちこそが皆の目標なのだと主張すれば、あら探しをする人が現れるものだ。トランプ大統領は露骨なナショナリストだが、米国が民主主義国家として成功すれば他国のモデルになるなどとはほとんど口にしない。同氏に続く大統領もそうしたことは語らない方がいい。

英政府は先ごろ、自国のコロナ対策をルーズベルトのニューディール政策になぞらえた。およそ90年も前に英国とは違う国で異なる状況下で実施され、効果を巡っても議論が分かれている政策だ。これほどまでに米国のことが参照され続けているのは驚きだ。圧倒的な覇権を誇ったからだろう。世界は米国の覇権は終わりつつあるとみている。それでも一挙一動に視線を注ぎ続けている。


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