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問題は英国ではない、EUなのだ

2017年01月04日 (水) 15:30
問題は英国ではない、

エマニュエル・トッド
「問題は英国ではない、EUなのだ」より

『中国は…続かなくなるでしょう』
中国は半先進国にすぎません。しかし、先進各国、特にアメリカで起こってきている潮流の反転があの国を苦境に陥れる可能性はあります。中国経済の成長は輸出主導なので、アメリカがナショナルな方向へ重心を移すとき、特にアメリカでその重心が統合ヨーロッパの統合の崩壊や断片化と時を一にして起こるとき、続かなくなるでしょう。

『一世紀遅れのナショナリズム』
そこで中国の指導者たちが採用したのが、ナショナリズムを高揚させるという古典的な解決法でした。外敵を見つけて、ナショナリズムで国内を引き締めようとする。これは非常に危険なことです。ひと口に危険といっても、私が感じているのは漠然とした危うさではありません。中国が歴史の現段階においてナショナリズムを使わなければいけない状況に追い込まれていることが、危険なのです。

『中国は帝国ではない』
軍事的に見ても、他の大国に比べれば軍事技術で非常に遅れをとっているため、強さはあまり感じられない。しかも、アジアで覇権を握れているかというと、まったくそうではありません。むしろ、ベトナム、フィリピン、韓国、日本など、中国の覇権を否定し、アメリカという帝国のシステムの下に入ることを選んだ国々に囲まれています。
ですから、中国は途方もなく大きなネイション〔民族国家〕ではありますが、帝国と呼ぶことは決してできないのです。…私が危うさを感じているのは、その巨大なネイションが、かつてのヨーロッパの大国と同じような帝国主義的な振る舞いをしていることです。


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