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天下の災・国中の難の根本原因

2016年10月16日 (日) 23:52
天下の災・国中の難の

天下の災・国中の難の根本原因
客の曰く天下の災・国中の難・余独り嘆くのみに非ず衆皆悲む、今蘭室に入つて初めて芳詞を承るに神聖去り辞し災難並び起るとは何れの経に出でたるや其の証拠を聞かん。
主人の曰く其の文繁多にして其の証弘博なり。
金光明経に云く「其の国土に於て此の経有りと雖も未だ甞て流布せしめず捨離の心を生じて聴聞せん事を楽わず亦供養し尊重し讃歎せず四部の衆・持経の人を見て亦復た尊重し乃至供養すること能わず、遂に我れ等及び余の眷属無量の諸天をして此の甚深の妙法を聞くことを得ざらしめ甘露の味に背き正法の流を失い威光及以び勢力有ること無からしむ、悪趣を増長し人天を損減し生死の河に墜ちて涅槃の路に乖かん、世尊我等四王並びに諸の眷属及び薬叉(やしゃ)等斯くの如き事を見て其の国土を捨てて擁護の心無けん、但だ我等のみ是の王を捨棄するに非ず必ず無量の国土を守護する諸大善神有らんも皆悉く捨去せん、既に捨離し已りなば其の国当に種種の災禍有つて国位を喪失すべし、一切の人衆皆善心無く唯繋縛(けいばく)殺害(さつがい)瞋諍(しんじょう)のみ有つて互に相讒諂(あいざんてん)し枉(ま)げて辜(つみ)無きに及ばん、疫病流行し彗星数(しばし)ば出で両日並び現じ薄蝕(はくしょく)恒(つね)無く黒白の二虹不祥の相を表わし星流れ地動き井の内に声を発し暴雨・悪風・時節に依らず常に飢饉に遭つて苗実(みょうじつ)成らず、多く他方の怨賊有つて国内を侵掠(しんりゃく)し人民諸の苦悩を受け土地所楽の処有ること無けん」已上。
(立正安国論18ページ)


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