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側室の次男と正室の嫡子

2015年08月03日 (月) 01:40
側室の次男と正室の嫡

◎照る日、曇る日
「お久、忍んでくれ。この世は堪忍の世の中ぞや。誰かが心の虫を殺して堪忍せねばならぬ。それが人の世のさだめなのじゃ」

◎塵土(じんど)の嘆き
信近……世間の習慣の一つ一つに汚点を見つけて、それにはげしい憤りをぶつけてゆく。ただそれだけで不快な濁世が澄ませるものと単純に思い込める若さをもっていた。

随風「今日の苦患(くげん)の除けぬ仏法が何になる。病んでいる者には医薬を施せ。餓えている者には食を与えよ。それがまことの仏法じゃ。あらゆる苦患からただちに大衆を救い出すのが仏の心じゃ。病魔はびこらば病魔と戦い、強権がはびこらば強権と戦う。いまのような狂刃乱舞の世に、死後の安楽を説いて何の救いぞ、なぜ現世で狂刃を封じようとはしないのだ」

◎輪廻
そしてみずからは革命者であり、われに従うもまた革命者なりとして、その服装まで現世の地獄人と区別せられた。……いかがでござる? 随風に同行して乱世の大器を探しに出られては。

◎謀略
信元……内心ではハッと蒼(あお)ざめるものがあった。自分は父の死後しきりに家臣の整理をしてきたが、まだ一族一体の団結までには到っていない。
が、岡崎はその逆であった。広忠自身は弱小なのに、松平家の落潮を迎えて決して離れぬ粒よりの老臣どもが、しっかりと広忠を支えている。

「……老臣どもはことごとく奥方に心服してぎざるゆえ、別れを惜しんでおそらく刈谷の領内まで見送られる。そのときに老臣すべてを……」

◎戦国夫婦
「後ろ楯がのうては立てぬ世じゃ。織田か今川か。が、いずれが勝ち、いずれが負けるかは、予にはわからぬ。とすれば、この広忠は父祖よりの義理に従い、うかつに動く愚かしさは慎まねば相ならぬ。そなたに予の心労がわかってくれるか」

◎秋雷
波太郎は吉法師に
「それそれ、そのように先走る。それではいよいよ敵を作って、後継ぎのことのみか生命も危い。愚かにならせませ。何事も思い及ばぬもののようになさいませ」

波太郎
(ひとり人間だけが、なぜ苦の世に住まねばならぬのか)
……他の動植物のように素直に自然に順応せず、自分たちが自然によって生命を与えられた事実をいつか忘れている。各自が各自の恣意にまかせて階級をつくり、所領を決め、むごたらしい犠牲を押しつけあって嘆いている。

◎別離
(おお……竹千代が……)

「用心は先にするもの……と、これはわらわの父、右衛門大夫が訓え。いや、それだけではない。竹千代と下野守とは伯父と甥。その間に怨みの種を残さぬように計らうが、“だい”のつとめかと思いまする。だいの頼みじゃ! 竹千代の後のためじゃ! 聞き入れて帰ってたもれ」


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