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国王トム

2014年09月27日 (土) 20:29
国王トム

十五 国王トム
「それはけしからん。英国の法律が個人の自由をうばうというのは、どうもいかん。売りたい者には売らせるがいいじゃないか」

十六 宴会
「良民たちよ、満足に思う」

トムは帽子をかぶったまま食卓にすわった。少しも臆する様子はなかった。それというのも、つまりカンテイの一族が、やはり帽子をとらずに食事したからなので、こればっかりはトムの育ちと皇室のならわしとが、まったく一致したただ一点だったのだ。

十七 フーフー第一世
怒りと恥で、小国王の目には涙があふれた。彼は心の中に思った。
「たとえば余が、このものたちにむかって、ひどいひどい仕うちをして、そのふくしゅうにあったのだとしても、これよりはげしいふくしゅうにあえるものじゃない。ーーまして余はこのものたちに恵みをかけてやろうとしたのだ。それにこのやりかたはなんという恩しらずのことだろう!」
国王は胸をかきむしられるような悲しい思におそわれた。

十八 逃げだした国王
「乞食でどろぼうだ。あれはそちの金をだまして取ったうえに、財布まですっている。そちがぜひともこいつの病気をなおしてやりたいというのなら、そちの杖でこいつの肩をうってやれ。そしたらどうするか試してみろ」


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