第47章
特殊な魔法にかかった
ドン・キホーテ・
デ・ラ・マンチャ。
他、見逃せないあれこれ。
「騎士様であらせれられますが、引かれていくわけはご本人から直にお訊き下さい。われわれにもさっぱり分からんのです」
正義は正しい者からは貴ばれますが、悪党どもからは目の敵にされます。
世の中には、正義を憎んで腹を立て、人の勇気が癪に障る者がおりまして、そんな奴輩(やつばら)の悪巧みに引っ掛かり遊ばしたのであります。
頭隠して尻隠さず。……まったく、人が人を妬むところ、正義は生き難(にく)うございます。
これでもかこれでもかと出鱈目を連発します。
第48章
聖堂参事が続けて
騎士道本を語る。
他にも蘊蓄多々。
「…韻文では、ギリシャ・ラテンの詩の双璧ホメロスとウェルギリウス」
人心が健やかな国では、適度の娯楽として芝居を公演しますが、品位を保っています民人が堕落しないようにという配慮からです。小人閑居して不善をなす……
二人が殿様をこんなに連れて行くわけは、妬みです。殿様の目覚ましい働きが羨ましいんです。悔しいんです。
第49章
サンチョ・パンサが
殿様ドン・キホーテと交わす
粋な会話
「お尋ねしたいことがあります。暇にまかせて騎士道本を読み耽れば、郷士殿、あなた様ほど聡明なお方でも正気を逸し、あまつさえ、魔法にかかるなどということを本気で信じるようになるのでありますか。……」