平成26年1月1日以後の相続から、相続開始の直前に被相続人が要介護認定を受けていれば、老人ホームに入所したことで空き家となった家屋の宅地等でも、小規模宅地特例の適用対象となる。
対象者が死亡した後に要介護認定が下りた場合でも、相続開始直前に認定を受けていたものとして適用対象として認められるが、市町村による要介護状態であるか否かの調査を受ける前に死亡してしまった場合には、認定を受けることができないことになる。
この場合、たとえ相続開始直前において、被相続人が事実上要介護認定を受けられるような状態であったとしても、要介護認定を受けていない以上、特例の適用対象にならない。
従前では、被相続人が介護を受けるために老人ホームに入所するなど、一定の事由を満たす場合には、特例の対象として取り扱われていたが、25年度改正で“介護を受けるための入所”が、“相続開始の直前において要介護認定を受けていたこと”という法令上の要件として規定されていた。
介護を受けるための入所か否かは、特別養護老人ホームを除き入所時の状況で判断するとされていたが、改正後は要介護認定を受けていたことが法令の要件とされた以上、要認定の有無で特例の適用が判断される。
要介護認定の審査は、市町村の職員による対象者へのkikitori調査を基に行われるため、この調査が行われるまでに対象者が死亡した場合には、認定を受けられないことになる。この場合、要介護状態であったことを証明する要介護認定を受けていない以上、特例の適用対象にならない。
また、一度要介護認定を受けてもその有効期限は原則6か月で、その後は原則1年ごとに更新することになるが、更新手続きをせず有効期限が途切れた際に相続が生じた場合などには、相続開始直前に要介護認定を受けていたことにはならないため、特例の適用対象にならない。
【週刊税務通信26.6.30号】
〔措置法第69条の4((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))関係〕