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移転価格についての留意点

2014年07月01日 (火) 10:25
ジェトロ武漢ニューズレター
2014年6月号  —Vol.44—

【1】ワン・ポイント・アドバイス(会計税務レポート)

● 移転価格についての留意点
湖北省を含め中国各地において、多国籍企業に対する移転価格を、中国政府は
従来から厳しく取り締まっており、近年違反金額が大きくなる傾向にあります。
そこで、念のため、注意事項を取りまとめました。ご一読ください。
1
移転価格とは
 移転価格に関する述語と概念:
「移転価格」が税法と経済の角度から言い出した述語である。「移転価格」における「移転」とは企業クループ内で独立貿易原則(Arm,s Length Principle)に基づき、貨物、サービス、無形資産等のような取引の価格を設定することである。「移転」は殆ど企業クループのブランチ機構で起こる。そのブランチ機構は独立企業になり、大体他国と地域に存在している。
-出所:致同会計師事務所 パートナー 周自吉『移転価格理論と実務操作』
 移転価格管理に対する中国国家税務局の規定:
(国税发〔2009〕2号)第三条:移転価格管理とは、税務機関は所得税税法の第六章
及び徴管法の第三十六条の関連規定に基づき、企業間の取引(以下は関連取引という)が独立貿易の原則に合っているかどうかを審査評価、調査調整することの総称である。
移転価格調査の全体環境
 世界での移転価格管理環境ランキングに、中国が既に第三位になった。
 移転価格の管理と評価から見ると、中国はもうアジア太平洋地域乃至全世界では
最もポジティブな税務管区になった。
ゼロに調整することは殆ど不可能。
2012年、租税回避防止の案件に追徴税額が億を超えたのは9件、最高額案件は8.43億まで達した。
2012年、単一案件の平均追徴税額は2620万元。
2011年、租税回避防止の管理により239億元を取り戻した。
2012年、租税回避防止の管理により346億元を取り戻し、2011年より45%増加。
 2006から2012年にかけて、移転価格調査の結案金額及び件数は下表に示すように、
2
 所得課税の対象調整額は年に増加。
 結案の件数が横ばいが、単一案件の平均追徴額は大幅に増加。
2012年租税回避データ統計
 統計データから、2012年全国租税回避防止の税収に346億元増加、2011年より約
45%増えたことが分かった。
 移転価格の二国間事前確認制度と二国間協議のため、中国に申請した企業は120
社以上あった。2012年、中国は9カ国と29件の案件について、16回の二国間協議が行われた。その結果、二国間事前確認制度を11例達成し、移転価格調整要望を受けたのは9件あった。多国籍企業に64億元の国際二重課税を解消した。
-出所「中国税務報」2013-5-17
移転価格調査のトレント
 中国の税務機関は移転価格の管理を強化している。租税回避をフルタイムで防止
する国家税務総局職員は50名まで増え、将来一層増加する見込みである。更に、業界の合同調査、他地域と国家の合同調査も実施されているそうだ。
 主要の取引タイプ:持分譲渡取引、無形資産譲渡、資金調達、サービス。
 主要の業界:車、贅沢品、製薬、小売、不動産、ホテルチェイン、船荷取扱店、
パソコンのOEM、タイヤ製造。
 主要の注目対象‐ハイテク企業;“走出去”企業の租税回避を日に重視。いわゆる
コントロルされた外資企業。(“走出去”: 中華人民共和国が 積極的に支持している海外の投資戦略のことである。)
 主要の注目問題:立地節約、マーケット・プレミアム等の新たな概念。
湖北省租税回避防止の成果
近年、湖北省も租税回避防止に一層力を入れている。それなりの成果を遂げたそうだ。
 湖北省武漢市国税局よりある日系企業の租税回避案件を結案されたことが分かった。所得課税対象額が1.9億元を増加、入庫税額が815万元を追徴した。この案か今
結案金額
結案件数
3
まで湖北省で最高額の移転価格調整案である。…去年6月に武漢市国税局国際税務の租税回避防止職員たちが武漢市にある独資日系企業に対して、移転価格調査を実施した。関連取引が大量に存在しているほか、増資で年に規模が大きくなっていたが、赤字で続いたと判明。…結果として、所得の課税対象額が1.9億元を増加した。その内の1.2億元が赤字を埋められ、7265万元が所得課税対象の純増加額になった。案件の時点はまだ所得税半減優遇の期間にあったため、実際入庫した税金は815万元、追徴した利息は85万元であった。…2012年、租税回避防止調査、関連取引審査評価とトレース管理を強め、武漢市国税局の案件数と追徴税額が記録的な最高額に至した。所得の対象額は合計6.3億元増加、赤字補填は1.8億元あり、追徴した企業所得税が5401万元、利息が532万元あった。
-出所「中国税務報」2013-1-21
 湖北省孝感市の国税局は企業関連取引に二級監督、分類管理制度を設置し、租税
回避案件の選別と調査を実施している。2013年租税回避防止の調査で税金5708万元を追徴、その内の3456万元は企業所得税、2252万元は増値税であった。その他、孝感市国税局は市、県に租税回避防止の調査チームを設置、企業関連取引を監督する。
…企業関連取引の申告データベースを構築した。関連取引金額、タイプ、企業利益等の指標で企業をA、B、C三つに分類、分類管理を実施…2013年、孝感市国税局は関連取引がある5408社に128.33億元の申告を監督した。…企業赤字が合計140.5万元を減少、企業の課税収入が1.33億元増加、租税回避防止で5708万元の税金損失を避けることができた。
-出所「中国税務報」 2014-3-2
移転価格調査のまとめ及びリスク防止
 今の中国移転価格調査結案の案件から見ると、多国籍企業が利益を移転する主要
の形式は以下のように、
1,中国での子会社が国外の親会社より原材料を仕入れてから、加工した製品を親会社に販売する。所謂“高進低出”の手段で利益を国外の親会社へ移すこと。
2,国外の親会社に高額の技術権使用費、商標使用費等を支払うこと。
3,国外の親会社が中国での子会社に無形資産を使える権利を与え、子会社から高額の特許権使用費を取ること。
4,国外の親会社が労務派遣、同じ仕事で違う報酬の形で子会社から高額の労務費を取ること。
5,タックスヘイブンで会社を設立、中国での子会社の利益をタックスヘイブンへ移すことによって、税金を回避するか税金を控えること。
6,海外で中国の会社の株を譲渡することで、租税を回避すること等。
 毎年、中国での外資企業が事前に移転価格のリスクを知るために、「同期文書準備報告」を使えると思います。以前中国税務機関が「同期文書準備報告」の収集と審査を通じて問題がある企業を探し出し、移転価格の調査対象を選んでいたが、これから収集と審査に止まらず、情報の整合と加工で租税回避防止のデータベースも構築している。それで、審査の途中で移転価格の調査対象を選ぶことができるようになった。アドバイスとして、「同期文書報告」の義務がある企業に中国税務機関の最新要求を注目して、同期文書の準備と提出を重視してください。同期資料の内容は複雑なので、中国税務機関の最新規定に相応しくリスクが低い同期文書を作り出せるために専門的なチームの協力を得たほうが良いと思います。そして、企業の移転価格に関して評価と改善意見も貰えるので、将来のリスクを下げるができると思っております。
京都税務 2014年5月26日

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