◎幾山河
杜甫(とほ)の「春望」の詩が、戸田の心に思い浮かんだ。
「国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙をそそぎ
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす……」
「法自ら弘まらず人・法を弘むる故に人法ともに尊し」
「千載一遇じゃないか。ありがたい話だ。何も困ることはない」
「信心する、しないは別として、村の人たちを、真心込めて集めることに努力しよう。今こそ、そのことを御本尊様に祈りきる時じゃないか。一家で、全力をあげて頑張ろうよ。至誠が通じないわけがなかろう」
◎序曲
「あなたの慈悲の広大無辺は、私を牢獄まで連れて行ってくださいました。そのおかげで『在在諸仏土 常与師倶生』と、妙法蓮華経の一句を、身をもって読み、その功徳で、地涌の菩薩の事を知り、法華経の意味を、かすかながらも身読することができました。なんたる幸せでございましょうか」
◎光と影
「われわれの戦いは、今、こうしてコツコツやっているが、すごい時代が必ず来るんだよ。ゼネストなんか、今、諸君は大闘争だと思っているかもしれないが、われわれの広宣流布の戦いから見れば、小さな小さな戦いであったと、わかる時が、きっと来る。私は断言しておく。皆、しっかりやろうじゃないか」
◎前哨戦
今は、将来、真実に人びとを救い、指導していけるだけの力を養っている訓練段階だと思わねばならない。将来の本格的な広宣流布のための実践を、そんな、遊び半分のようなものと思っては大変だ。三類の強敵との壮絶な戦いなのだ。
その時に、退転するなよ。今、いい気になっている連中は、大事な時になって退転してしまうものだ。
◎地涌
旅びとよ
いずこより来り
いずこへ往かんとするか
月は沈みぬ
日 いまだ昇らず
夜明け前の混沌(カオス)に
光 もとめて
われ 進みゆく
心の暗雲をはらわんと
嵐に動かぬ大樹求めて
われ 地より湧き出でんとするか
◎車軸
まあ、しばらく見ていたまえ。君たちは
建物を、うんぬんすべきでない。自分自身を磨いていくんだ。大聖人様の哲理を夢にも疑わず、“広宣流布は俺がやる”という気概にあふれて、前進していくべきじゃないか。