2.法人税における債務確定基準について
原則として引当金の計上や費用の見越し計上は認められていない。
例外として、別段の定めにより2つの引当金が認められている。
課税公平の観点から債務基準
◎使用人賞与の損金算入時期
1)すべての使用人に通知…各人に通知
2)一月以内に支払い…例外なく
3)損金経理…恣意的
※すべての使用人…支給日に退職していた場合は支払わない→確定した債務とはいえず!!
3.業績の著しい悪化
お手盛り的な支給は容認しない
「事前確定届出給与」…使い勝手がよくない
「定期同額給与」
(1)原則一年間「同額」
(2)定時改定:3ヶ月以内
(3)臨時改定:やむを得ない事情
(4)業績悪化改定:著しく悪化
※下げる場合
第三者である利害関係者(株主・債権者・取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれは…
◎新設法人…現行法上「定期同額給与」に該当するとはいえない。
しかし、新設法人のケースでは、先行きの見通しが立たないため、定期同額給与を定めにくいケースが多いのが事実。
経営的な観点から、資金繰りを考慮し、実際の業務内容から見て、会社が軌道に乗った段階で、本来の業務に見合っ他役員報酬を支払おうとするのは、むしろ当たり前のこと。
◎会社の資金繰り等の状況から、やむを得ず一時的に未払いが生じてしまうケース
→定期同額給与が未払いになったとしても、損金算入が認められるものと考えられる。
◎とりあえず一定額を月額報酬として、そのほとんどが未払いとなり、資金的に余裕ができた時にその一部をアトランダムに支払い、常に未払金が残っているケース
→定期同額給与を規定する意味がなくなってしまうため、経理操作による利益の圧縮に過ぎないと判断されてしまう可能性
※注意したいのは、法解釈とは異なった取扱いが示されている部分も見られる。
4.役員の実質的退職とは
(1)株主総会の決議日
(2)実際に支払った事業年度
(3)分掌変更で「実質的に退職したと同様の事情にあるとみとめられるものである場合」
1)常勤役員→非常勤役員
2)取締役→監査役
3)給与が激減
※客観的に退職しているか
5:交際費等
※参考…交際費支出額
過去最高支出額
H4年度 6兆2078億円
H22年度 2兆9360億円
その他事業に関係あるもの等
…その法人の利害に関係のあるものすべて
その他これらに類する行為のために支出するもの
…支出の形態は、直接・間接を問いません
会社の人間だけで飲食→交際費
それ以外
…一人5000円以下…交際費から除外
…一人5000円超…交際費
◎第一要件:支出の相手方
事業に関係
◎第二要件:支出の目的
接待・供応・慰安等
↓
事業関係者等との親睦
◎第三要件:行為の形態
接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為
【主な判例】
◎製薬会社が大学病院の医師の英文添削費用を負担していた部分を交際費に
→医師等は知らなかった
◎開店祝いの花輪代→交際費
◎無償優待入場券→交際費
◎右翼団体への清掃業務委託代→交際費
◎総会対策費用
◎談合金
◎慶弔費用
※措置法として昭和29年から継続
※平成25年度税制改正…大法人向けの交際費課税の緩和
6.逆養老保険
◎定期保険
1)受取人が法人…損金
2)受取人が被保険者の遺族…福利厚生費
…ただし一部のみは給与
◎養老保険
…資産計上
…給与
…ハーフタックス
◎傷害等特約保険
…全従業員が対象…損金(福利厚生費)
…特定の者…給与
◎ガン保険…損金算入に一定の制限
7.上場有価証券の評価損
1)市場価値のあるもの
…価格が著しく低下し、…50%
近い将来回復の見込みがないこと
…2年以上又は2期連続赤字
2)1)以外の有価証券
…発行法人の資産状況が著しく悪化したため、価格が著しく低下したこと
「過去2年間にわたって50%程度以上下落した状態にある場合」
…必ずしも絶対的なものではない
…例えばその間のほとんどの期間及び決算期末の時点で50%以下の状態であれば、その間に何度か50%を越えていても認められる。
3)すべての有価証券
…会社更生法、再生計画認定決定により評価換えする必要が生じたこと
…2)又は3)に準ずる特別の事実があったこと
8.その他資本取引に関する留意点
1)欠損補填による減資
資本金と資本金等の額
2)寄付金…資本金等の額
3)外形標準税
適用…資本金の額
課税標準…資本金等の額
4)法人住民税(均等割)…資本金等の額
5)DES:税務上は「時価評価説」
※券面額説の場合は税務調整
額面額 5千万円
時価 3千万円
→債務滅失差益 2千万円
→繰越剰余金がマイナスの場合には、法人の資産価値もその分減っているため、通常は債権の時価は額面より低くなる。