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米民主、党内結束に揺らぎ
下院選過半数も穏健派は不満 新政権への足かせにも
日本経済新聞 朝刊 国際(11ページ)
2020/11/12 2:00
【ワシントン=中村亮】米民主党内に不協和音が広がっている。米連邦議会下院選で、民主党は過半数の維持を確定させたが、議席数を大幅に伸ばす圧勝シナリオは不発に終わり、議席減の可能性が浮上している。穏健派は、過激な政策を訴える左派の責任を追及。左派は反論している。路線対立が再燃すれば、大統領選での当選が確実となったバイデン前副大統領の政権運営が難しくなる要因となりそうだ。
米メディアによると、穏健派のアビゲイル・スパンバーガー下院議員は、左派が国民皆保険制度などを訴えた結果、「共和党が『民主党は社会主義勢力』とのレッテル貼りをする隙を与えた」と左派を批判。「誰も社会主義について語るべきではない」と主張した。下院選では、民主党が南部フロリダ州マイアミ周辺の2議席を共和党に奪われる見通しだ。同地域はベネズエラやキューバ移民が多く、社会主義に対する抵抗感が強い。
民主党指導部のジェームズ・クライバーン院内幹事は「国民皆保険制度などを提唱すれば、21年1月に予定する南部ジョージア州の連邦上院選の決選投票で勝利できない」と主張しているという。ペロシ氏も左派の台頭を警戒している。
左派はこうした責任論を否定している。アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員はCNNテレビのインタビューで「民主党は社会主義批判をかわすためのデジタル戦略が時代遅れだ」と選挙戦略の不備を指摘。「国民皆保険制度やグリーン・ニューディール政策を支持した候補者は軒並み当選した」と穏健派の批判に反論した。
議会選で左派は相次ぎ議席を獲得した。東部ニューヨーク州16区では、6月の民主党予備選でベテランを破ったジャマール・ボウマン氏が初当選を果たす見通し。左派で若者に絶大な人気を誇る中西部ミネソタ州のイルハン・オマル氏や同ミシガン州のラシダ・トレイブ氏も順当に再選を確実にした。
これまで穏健派と左派は大統領選での「打倒トランプ」を優先し、対立を避けてきた。穏健派のバイデン氏もオカシオコルテス氏らとの政策協議に応じ、左派に目配りする姿勢を示した。バイデン氏が当選を確実にして共通の目標をほぼ達成したことで、これまで封印してきた穏健派と左派の路線対立に再燃の兆しがある。