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2020.10.2-4

2020年10月01日 (木) 12:01
2020.10.2-

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◎春秋
日本経済新聞 朝刊
2020/10/1 2:00

 「英雄伝」を書いた古代ギリシャのプルタルコスは、酒杯を手にしながらの友人たちとの談議もつづっている。「食卓歓談集」(柳沼重剛編訳)という。宴会の料理は最初から一人ずつ取り分けるのがいいか、大皿からめいめいが取るのがいいか、という話が出てくる。

▼大皿派は、取り分けは一体感がそがれる点を問題視する。加えて、「同じ量の料理を割りふるというのは、一見ごもっとものようだが実ははなはだ不公平」という。小食の人もいれば足りない人もいるからだ。「大勢の病人に正確に同じ量同じ目方の薬を与えたりしては笑止の限り」。薬も例に、全員一律は不合理と説く。

▼対する取り分け派の主張は、そもそも食事は「分与」と呼ばれ、平等な分配が筋だというものだ。一人で余計に食べる人は、食べるのが遅い人を敵に回す。「みんなの友誼(ゆうぎ)を深めあい仲良くやろう、という宴(うたげ)の開始にはふさわしくあるまい」。国と国も、同盟軍どうしも、平等であればこそ一つに結びあえるのだから――。

▼コロナ禍の渦中にいる私たちの場合、会食でも感染防止を考えないといけない。おのずと取り分けを選ぶことになろうが、古代ギリシャの昔から、料理の取り方にはいろいろな議論があることを食事の話題にするのも一興だ。飲食代金の補助を受けられる「Go To イート」が始まる。酒杯を重ねすぎず、楽しみたい。


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