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◎教育本部の友と語るオンライン教育の長所と課題
――青年部と医学者による第11回オンライン会議から?
〈危機の時代を生きる〉「コロナ禍の中で考える教育の未来」
●子どもが成長するポイント
?「自分は大切にされている」と感じられる
?温かい人間関係で結ばれている
?自ら考え学習する
田村副社会教育部長 対面の価値を考える上で紹介したいのは、私が教職大学院の学生に“子どもが成長するために大事なこと”として伝えている、?自己存在感を与えられているか?共感的人間関係が築けているか?自己決定の時間と場があるか、との3点です。
1点目の「自己存在感」とは、「自分は大切にされている」と感じられているかどうかということ。2点目の「共感的人間関係」とは、温かい心の絆・つながりを基盤とした人間関係を意味します。3点目は、子どもが自分自身で学びのペースをつくり、探求する機会を与えていくことです。
オンラインの活用によって、この3点目は満たすことができます。しかし、1点目、2点目については、対面だからこそ培うことができる力だと思います。この二つを、オンラインのみで満たすことは容易ではありません。
それでも、青木さんの実践報告には、オンラインの壁を乗り越える知恵と工夫が詰まっています。一人一人の名前を呼んで声を掛けるといった実践は、「自分は大切にされている」という自己存在感を高め、温かい人間関係を築いていくことにつながります。
藤原東京医科歯科大学教授 三つの観点は大変に重要であると思います。私の専門である社会疫学でも「自己存在感」はキーワードです。子どもたちの自己存在感を高めるためには、学校とともに、家庭のサポート、また家庭や学校以外の「第3の居場所」が重要です。
コロナ禍の中で、地域による教育格差や各家庭の通信環境の整備など、さまざまな課題が浮き彫りになりました。こうした課題は、単純にパソコンや通信設備の提供だけでは解決しません。家庭教育の役割や、さまざまな理由で子どもの勉強に関われない家庭のサポートの在り方、「第3の居場所」を地域に設置していくことなど、公衆衛生上の課題と密接に関わってくると感じます。
オンラインの長所「どこでも自分のペースで参加できる」
対面の長所「人と人の触発が互いの生命力を高める」
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ともかく、子どもの頑張りを褒めてあげることが大切です。例えば、漢字の書き取り練習で、漢字を「10個書く」ことと「丁寧に書く」ことを同時に行うのは、その発達段階では難しい子どももいます。せっかく10個書いたのに、字が汚いからといって、親が消しゴムで全部消してしまう、となると勉強へのやる気がそがれてしまいます。どんなに字が汚くても、10個書いたことを評価し、「次は丁寧に書こうね」と声を掛けるなど、焦らずに学びに向かわせていくことが大事です。
●「情報伝達はオンライン」「人間の絆を強めるのは対面主」――特性を生かした使い分けを