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2020.9.17-4(3)

2020年09月16日 (水) 23:28
2020.9.17-

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【大機小機】人民元国際化、中国の新戦略
日本経済新聞 朝刊
2020/9/16 2:00

 コロナショックで一層激化した米中対立は、香港の自治問題をきっかけに、貿易分野から金融分野へとその主戦場を移した感がある。

 中国政府を強く刺激したのは、香港の銀行のドル調達を制限することが米国政府内で一時検討された、と報道されたことだ。米政府が事実上支配下に置く、ドル建て中心の国際銀行送金の大半を担うSWIFT(国際銀行間通信協会)に介入して、香港の銀行の活動を制限することが検討されたのではないか。

 SWIFTから対象国の銀行を外すことで、その国と海外との間の貿易を遮断することは、米国がテロ指定国への経済制裁の実効性を高めるための常とう手段だ。米国が将来、それを中国にも適用するリスクを、従来以上に中国政府は意識したことだろう。

 国際通貨基金(IMF)の2019年の報告書「External Sector Report」によると、中国の輸入に占めるドル建て決済の比率は92.8%と、主要国中で最高水準だ。SWIFTを通じたドル建て決済ができなければ、中国の貿易は壊滅的な被害を受ける。

 米国が近い将来そうした措置を講じるとは考えにくいが、中国としては生き残りをかけて、備えておくことが必要となる。その対抗策が人民元の国際化推進である。貿易決済が人民元建てで行われるようになれば、米国からの介入を受けることはなくなる。

 しかし、人民元の国際的な信用力を高め、海外での利用拡大を地道に促していく戦略では、米国の国際金融覇権を突き崩すまでに相当の時間がかかる。そこで中国は、ドルと同じ土俵で戦わない形で人民元の国際的な利用拡大を目指し始めたのではないか。

 IT(情報技術)関連を中心に中国製品が米国など先進国市場から次第に締め出される中、中国経済が成長を維持していくには、輸出先を開拓し、新たなグローバル・バリューチェーンを構築する必要がある。そのベースとなるのは「一帯一路国」である。

 相手国に貿易決済での人民元利用を強いることで、経済圏と通貨圏の構築を一体で進めることが可能となる。ただしそれは、世界の経済と金融が「ダブルスタンダード」に向かっていくことを意味しよう。コロナ禍は、そうした流れを大きく加速させてしまったのではないか。

(神羊)

◎国際銀行間通信協会(こくさいぎんこうかんつうしんきょうかい、英語: Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)略称: SWIFT(スイフト、スウィフト)とは、金融機関同士のあらゆる通信にクラウドサービスを提供する非上場の株式会社である。本部はベルギーのラ・ユルプ(英語版)に設置されている。株主となる金融機関は各国に存在するため、同協会の事務所は各国に置かれている。

あらゆる国際決済が、スイフトを通じて行われている。証券決済における主要なトラフィックは、ユーロクリア、クリアストリーム、そして南アフリカJSEのストレートによる。1999年の同協会による発表では、日額約20兆フランス・フランを移転したという。

2016年2月現在、ブロックチェーンの共同開発に参加している。

日本では、資金決済でスイフトを利用する機会が比較的少なかったが、外国人労働者の母国への送金や、資金決済に関する法律の施行により、需要の増える可能性がある。

「swift」は、英語で「速い」「即座の」や「速やかに」などを意味する。金融機関同士の通信は従来テレックスや電報によって行われていたが、スイフトは通信速度を飛躍させた。また、その内容や通信文は確実に暗号化されたものとなっている。しかも、ネットワークに接続するコンピュータやインテリジェント端末装置はハードウエア、ソフトウエアとも協会が認定したものでなければならず、それらを製造する業者は世界中でIBMなど僅か数社しか認定されていない。


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