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2020.9.10-4(4)

2020年09月09日 (水) 23:12
2020.9.10-

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春秋
日本経済新聞 朝刊
2020/9/9 2:00

 「蒸しいため」は料理研究家の若林三弥子さんが考えた野菜の調理法だ。栄養をのがさず手軽においしく。原点は商社マンの妻として家族を支えた体験にある。1980年代初めに赴任したバグダッドではわずかな野菜を探してイラン・イラク戦争下の町を走り回った。

▼「どこそこにある」という情報を頼りに半日かけて手に入れたホウレンソウ。ごみや雑草をとってゆがいて冷凍し、惜しみながら少しずつ食卓に出した。ブエノスアイレスでは日系移民が持ち込んだダイコンなど深くて濃い味がする野菜に感激した。思春期の子供たちも大地の恵みをもりもり体にとりこんで大きくなった。

▼バグダッドに比べれば「野菜天国」と若林さんがいう日本だが、子供が満足に食べられないきびしい現状がある。先日の小紙夕刊で母子家庭へのアンケート調査の結果を読んだ。コロナ禍で2割近い家庭で1日の食事回数が減った。野菜や肉は高く、およそ半数が炭水化物だけやインスタント食品の食事が増えたと答えた。

▼コロナで仕事を失ったのは働く女性の5割以上を占める派遣社員やパートなどの非正規労働者が中心だ。フルタイムの労働者でも女性の平均給与は男性の7割。母子家庭の困窮は構造的な問題なのだ。子供には2食を食べさせ、自分は1日1食。そうやって歯を食いしばる母や子に旬の野菜の味わいを届けられないものか。


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