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ホンダ・GM、戦略提携
北米でエンジン共通化
日本経済新聞 朝刊 1面(1ページ)
2020/9/4 2:00
ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)は3日、北米市場で戦略提携を進めると発表した。エンジンやプラットホーム(車台)の共通化、部品の共同調達を検討する。これまでは自動運転など次世代技術の開発で協業してきたが、本業の中核である既存事業にまで踏み込む。新型コロナウイルス問題などで足元の事業環境が厳しくなるなか、業界の合従連衡が進みはじめた。
両社は車台の共同開発など具体的な作業を2021年初めにも始める考えだ。協業の範囲は北米での業務展開に限られ、現時点で資本提携などは検討していないという。
今回の提携は、ガソリンエンジン車やハイブリッド車(HV)など個社の足元の競争力を左右する従来技術を対象とする点で異例だ。GMは電気自動車(EV)開発の強化を打ち出しているが、主力の北米市場ではEVのシェアは1%程度。米テスラなど新たなライバルが台頭するなか、今後はガソリン車やHVの事業コストを徹底して引き下げ、次世代の事業に資金を振り向ける。
GMのマーク・ロイス社長は「両社がもつ経営資源を共有することで、革新的なモビリティー技術への投資を加速できる」とコメントした。ホンダの倉石誠司副社長も「将来のモビリティー技術への投資に向け、最大市場の北米で大幅なコスト効率の向上が実現可能となる」と述べた。
ホンダにとって北米は19年度の四輪事業の売上高約10兆円のうち6割弱を占める最重要市場だ。ただ、足元では新型コロナの感染拡大を背景に、四輪車の米国販売は4月に前年同月比で半減するなど急速に落ち込んだ。
一方、GMも米工場の稼働率低迷に直面している。ともに同地域での事業効率化が急務だった。
これまでのホンダとGMの提携は市場が小さい次世代技術を中心に進んできた。13年に燃料電池車(FCV)で提携したほか、18年にはGMの自動運転分野の開発子会社への出資を発表。20年4月には、共同開発したEV2車種をGMの工場で生産し、ホンダが米国などで販売することを決めていた。
今回の提携のようなエンジンや車台の共通化を進めてコスト競争力を高める手法は、仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合が先行している。ホンダとGMは同連合と異なり、資本を介さずに主要分野での協業を進める。