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コロナ禍とデジタル化、大きな変化にどう対応するか
経営共創基盤マネージングディレクター・
塩野誠氏の講演から
2020/08/08 4面
新型コロナ禍に直面し、米国をリーダーとする民主主義国家は自信をなくしているように見える。強権的な手法も用いて迅速に対策を講じ、感染抑制で成果を挙げる独裁的な権威主義国家がある一方、自由や民主主義を標榜する国は、意思決定に時間がかかり、感染抑制に手を焼くケースも多く、危機における脆弱性を抱えているように映る。
各人のデータを米グーグルなどのプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業が収集・蓄積していることが多く、一民間企業に過ぎない彼らが、公的な存在のように振る舞っている現状がある。各国政府が彼らの力を借りるのなら、真に公的な存在になってもらう手立てを講じるべきだ。しかるべき規制を設けないと、彼らが膨張するばかりでは健全な社会とならない。
日本は政府も自治体も、デジタル化が遅れている。各省庁、自治体が独自でデジタル化に取り組んでしまっている。遅れを挽回するためにも政府が制度設計を担うコントロールタワーをきちんと打ち立て、自治体を巻き込みながら全体観を持ってリードすべきだ。
行政のデジタル化の基盤となるマイナンバーカードの普及と活用を進める上で一番大事なのは透明性だ。今はなんとなく、「知らないうちに自分の懐具合や税金の支払い状況などもひも付けられるのではないか」と人々が漠然とした“気持ち悪さ”を感じている。こうした不安は、例えば自分のデータに税務当局がアクセスしたら通知されるといった形で透明性を確保することで解消される。国民の納得を得る努力が重要だ。