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2020.8.7-4(2)

2020年08月06日 (木) 22:48
2020.8.7-4

【Deep Insight】日本が持つべき反撃力
日本経済新聞 朝刊 オピニオン2(7ページ)
2020/8/6 2:00

◇◇

 では日本はどのような反撃力を持つべきなのか。何をめざすのかによって、答えは変わる。大きく分けて2つの選択肢がある。

 ▼敵のミサイルの場所をつかみ、精密誘導爆弾などで空爆し、破壊できるようにする。

 ▼そこまではやらずに、敵の滑走路や弾薬庫、指揮統制システムといった固定施設に反撃できる能力を持つ。

 軍事戦略に詳しい米ハドソン研究所の村野将研究員はこのうち、現実的なのは後者だと話す。中朝のミサイルは移動式が大半で、すばやく動く。それらを追跡し、ピンポイントで攻撃できる体制を整えるには、情報収集や空軍力の整備に莫大な費用と人員が必要になってしまうからだ。

 そこまでいかなくても「日本が後者の能力を持てば、米軍はミサイルの破壊に集中しやすくなるうえ、日本が主体的に作戦立案に関わるきっかけにもなる」と村野氏は分析する。具体的には米側とも密に調整しなければならない。

 そのうえで、もう一つ置き去りになっている極めて大きな問題がある。紛争に際し、真っ先に攻撃される危険が高い自衛隊基地の防御をどう固めるかだ。

 いくら自衛隊が反撃力を持ったところで、その拠点がすぐに破壊されてしまったら元も子もない。米ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は語る。

 「日本のミサイル防衛の論議は攻撃能力やイージス・アショアの代替案に傾きがちだ。だが戦闘を継続できるようにするために、日本の軍事施設の防御を強めることがとても大切だ。滑走路や燃料・弾薬の貯蔵庫、レーダー、通信網の強度と復元力をもっと高めなければならない。おとりの軍用機格納庫や貯蔵庫を配置し、敵の目をかく乱する対策も必要だ」

 アジア太平洋の情勢が動くにつれ、日本が必要とする防衛力の姿も変わる。日本は脅威を緻密に分析し、足りない防衛力を割り出し、補っていく努力が大切になる。そこで求められるのはイデオロギーや精神論とは対極にある冷静で科学的な思考だ。


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